【22卒】帝国データバンクの企業研究・選考対策

この記事について

信用調査で国内シェアナンバーワンを誇る「帝国データバンク」の新卒向け企業研究情報です。信用調査とは何か?という点から、会社の業績動向、帝国データバンクの強み、将来性など、就職する上で必ず知っておきたい情報を分かりやすく分析しています。

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目次

企業情報

概要

画像引用:市ヶ谷経済新聞

帝国データバンクは東京都港区に本社を置く企業信用調査を業とする会社です。
信用調査については後ほど詳しく述べますが、「その会社が取引先として大丈夫なのか?」ということを様々な側面からデータ化し、その情報を必要とする企業に販売する事業です。
興信所と言えば分かりやすいかも知れません。

帝国データバンクは元々個人調査から始まった会社であり、その歴史は1900年から脈々と続いています。
1981年以降は対企業信用調査を専門とした業務形態に移行し、信用調査業界では国内シェア60%を占め業界トップです。

基本情報

社名株式会社帝国データバンク
創業1900年3月3日
資本金9000万円
売上高522億7900万円
純利益68億6500万円
従業員数3300名(取材班:1700名)

事業内容

帝国データバンクが取り扱う情報は、個別企業の信用調査のみではありません。
例えば直近の企業の倒産情報や業界別・エリア別景気動向など、あらゆる企業にとってほかごとではない情報をオールマイティに取り扱っています。
ほかにも「企業概要データベース」を用いた新規の取引先開拓サポートなど、情報の収集・分析のみならず、活用に至るまでサポートしています。

今回の記事では、特に主業務である信用調査について、詳しくお伝えしたいと思います。

信用調査とは?

 

帝国データバンクを含む信用調査機関は、主に財務状況を始めとする企業の「信用度」に直結するデータを取り扱います。

例えば債務超過に陥っている会社と知らず取引関係を持ってしまった場合、販売した商品の代金を精算してもらうことが出来ない危険性もあります。
そのために、取引相手について知ることが企業活動上必要不可欠となるのです。

上場企業の場合、法律によって財務諸表などを定期的に公開することが義務付けられており、これを見ることでその会社の経済状況を知ることができます。
しかし非上場企業の場合、そうした法的義務は課せられていません
義務が無いながら情報を公開している企業もあるのですが、零細企業・中堅中小企業の場合はそうしたケースも稀です。

帝国データバンクが信用調査を行うのは、こうした情報公開が乏しい企業群です。
財務状況などの企業運営の健全度に加え、企業固有の強みなども中立的立場から評価するため、依頼企業にしてみれば一石二鳥です。

例えば、上のように「企業A」と「企業B」が存在すると考えてみましょう。
企業Bについて信用情報を知りたい企業Aは、帝国データバンクに企業Bの信用調査を依頼し、調査レポートを受けることで信用情報を確認することができます。
企業Bについても、単に信用調査を受けるだけでは旨味が有りませんから、信用調査の過程で発覚した課題をもとに経営課題の指摘が受けられるなど一定のメリットを提供します。

このように、帝国データバンクのビジネスモデルは「信用情報を知りたい」企業および「信用調査を受ける」企業の双方にメリットが有るものとなっています。

帝国データバンクの強み

日本の信用調査会社は帝国データバンクと東京商工リサーチが2大巨頭となっており、帝国データバンクの国内シェアが60%、東京商工リサーチの国内シェアが30%ほどとなっています。
2番手にダブルスコアを付けて国内における圧倒的シェアを誇る帝国データバンクの強みについてご紹介します。

現地現認

帝国データバンクの社員規模は全社員3300名・調査人員は1700名であり、実に従業員構成比の過半を調査員が占める形となっています。
更に現地現認を社是としており、調査員が必ず調査対象企業に直接のアポイントを取り、信用調査の裏付けを取っています。

帝国データバンクの調査拠点は全国に83箇所有り、日本中ありとあらゆる企業についてデータを蓄積している点が強みでしょう。

知名度

圧倒的な国内シェアを誇ることは、帝国データバンクに好循環をもたらしています。
帝国データバンクそのものに信用度があるがゆえに、調査アポイントの取りやすさ、営業の成約し易さなど、働く上のメリットにも繋がっています。

また、信用調査業は、信用調査を行う企業そのものにも高い信頼度が必要となります。
訳のわからない出処の企業レポートを鵜呑みにして企業運営など出来ないでしょうから…(笑)
したがって、帝国データバンクの高い知名度は商材そのものの魅力にも直結していると言えるでしょう。
更に言えば、同様の理由から他企業の新規参入が難しい事業でもあります。

業績推移

帝国データバンクは非上場企業ですから、公開情報には限りがあります。
この記事では決算公告を基に業績推移を分析します。

売上・営業利益推移

帝国データバンクの売上高および営業利益の推移は上の画像のようになっています。
売上高は毎年微増傾向にある一方で、営業利益は2016年をピークに微減傾向にあります。

営業利益の微減要因として、売上原価および販管費がともに増加傾向にあることが考えられます。
2015年から2019年にかけて売上原価は2264百万円、販管費は2360百万円増加しています。
2019年度の売上原価率は55.46%、売上販管費率は24.79%、営業利益率は19.7%となっています。
参考までに、同業他社である東京商工リサーチ(TSR)の2019年度における営業収益は20399百万円、営業費用(売上原価+販管費)は17116百万円となっており、営業利益率は16.09%です。

以上を総合すると、帝国データバンクは営業利益率が減少傾向にあるものの、業界2位のTSRに比較すると未だ高い利益率を誇っています。
他業界と比較しても、この営業利益率の高さは特筆すべき点でしょう。

景気に売上が左右されない

好景気は、企業にとって業績拡大のチャンスとなります。
業績拡大のため新規取引先を模索するにあたって、信用度の調査は非常に重要な要素です。

不景気は、企業にとって事業見直しの機会となります。
それまで取引を続けていた企業と以降も取引を続けてよいのか、信用度をもとに判断することになるでしょう。

また、企業の信用度は月日の経過とともに変動するものです。
したがって、定期的に情報をアップデートする必要があるため、必然的にリピーターを多く抱えることにも繋がります。

以上の論理から、信用調査レポートを主な商材とする帝国データバンクの業績は、短期的な景気変動に左右されづらい特性を持っています。

就職先としての帝国データバンク

さて、ここまで帝国データバンクの良い点および悪い点について羅列してきました。
以上を踏まえて、就職先としての帝国データバンクについて考えます。
(職種は調査員を想定しています)

良い点

まず、信用調査会社に所属する調査員の主なやり取りの相手は、調査対象会社の経営者となります。
したがって、年間何十名もの経営者とのやり取りを通して、自分自身のビジネスマンとしての能力を高めることにも繋がります。
業界をまたいでコネクションを作れますから、万が一転職を考えることになった際も有利でしょう。

帝国データバンクは「現地現認」を社是としていることは既に述べたとおりですが、調査員の存在はそのために不可欠です。
企業データベースとして日本一の質・量を誇り、それの保守・更新に携わることができる点でやりがいは必然的に付随して来るでしょう。

業界で圧倒的シェアを誇り、高い知名度があること、そして商品として企業の評点を扱っていることも、働く身としては非常に助かることが多いでしょう。
「帝国データバンク」という名前を出せば大抵の人には伝わりますし、営業のしやすさは他業界・競合他社の比ではないかと思われます。

悪い点

帝国データバンクの拠点は日本全国に所在しており、調査員は必然的に転勤を余儀なくされます。
この点についてはエリア採用など勤務地限定型の採用であれば負担は低減されますが、ライフプランの描きにくさというデメリットに直結します。
(ちなみにエリア採用の場合、年収は全国転勤型の80%である模様です。)

将来性に関して、すでに売上高・営業利益率推移をご覧いただきましたが、大きな成長は見込めない成熟型のビジネスになっています。
漸減傾向にはないので「非常に安定している」とも評することができますが、成長期にある会社でバリバリやっていきたい、という方には不向きかもしれません。

また、今は情報公開の拡充ムーブメントやインターネットの普及により、会社の風評や情報を手軽に手に入れることができるようになってきています。
一方で帝国データバンクが提供している情報は数十年前から脈々と蓄積され続けてきたものであり、時代の変化に追いついていない側面があるようです。
そのため、今後ゆっくりと信用調査レポートに期待される価値が減少していくことがあるかもしれません。
一朝一夕で致命的な問題点になることは無いでしょうが、経営陣の動向次第で先行き不透明な状態とも言えるでしょう。

おわりに

以上、帝国データバンクについて就活生が知っておくべき基礎的な情報をお伝えしました。

悪い点として「経営陣の動向次第で先行き不透明」とも述べましたが、直近では豊富な蓄積情報をもとにビッグデータ解析に手を出すなど、今後のポテンシャルを感じさせます。
その事業内容はコンサル業界にも通じるところがあるため、同業界を志望している学生にもぜひ視野に入れてほしい企業です。