【22卒】ルネサスエレクトロニクスの企業研究・選考対策 | 車載向け半導体で自動車産業を支える

この記事について

自動車向け半導体製品・ソリューションで国内のみならず世界的に存在感を放つルネサスエレクトロニクス。就職を考えている方向けに企業研究や面接・Webテストなど選考対策情報をお届けします。

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目次

企業情報

概要

日本が誇る代表的な産業の1つが、「産業のコメ」とも呼ばれる半導体産業です。
セラミックコンデンサで世界トップレベルのシェアを誇る村田製作所や半導体製造装置で世界3位のシェアを持つ東京エレクトロンなどは特に有名です。
そんな半導体産業の中で、同じく日本が世界に誇る産業である自動車産業向け製品において強みを持ち、半導体産業と自動車産業を結ぶ企業。それがルネサスエレクトロニクスです。

本日の記事では、ルネサスエレクトロニクスの企業研究情報や、将来の展望、面接で使えるネタなど、ルネサスエレクトロニクスへの就職を考える学生にとって有用な情報をお届けします。

企業情報

社名ルネサスエレクトロニクス株式会社
創業2002年11月1日
資本金289億71百万円
売上高(連結)7156億73百万円
純利益(連結)456億26百万円
従業員数(連結)18958名

(2020年3月1日時点。公式サイトによる)

企業研究

車載向けが売上の半分を占める

ルネサスエレクトロニクスはマイコンやSoCを主とした半導体部品を手掛けるメーカーであり、特にマイコン分野において世界シェアで約3割を占めています。
取引先のジャンルとしては、自動車メーカー、家電メーカー、産業機器業界、OA業界など非常に多岐にわたりますが、ルネサスの特徴としては売上高の約半分を自動車向け製品が占めることにあります(上画像参照)。

自動車業界は昨今EVシフトや自動運転などの「CASE」(C:Connected,A:Autonomous,S:SharedService,E:Electric)が取り沙汰されるように激変の渦中にあります(ただし、Shared/Serviceを除きPersonal Mobility Serviceに代替したPACEが進行しているという言説もあります)。
EVシフトにしろ自動運転化にしろ自動車の電子化は避けられない運命にあり、自動車産業に強みを持つルネサスの業績も自動車業界のCASEシフトに連動して伸びることが予想されます。

ルネサスが強みを持つ車載向けマイコンにおいては、高温など過酷な状況下においても安定稼働が要求されますし、スマホなどとは違いひとたび故障を起こせば人命に直結する重要性から、高い信頼性が要求されます。
ルネサスが車載向けで強みを持つ、ということが、ルネサス製品に対する高い信頼性を裏付けている、ということの何よりの証左でしょう。

また、自動車産業にとっても、半導体の安定供給は非常に重要な問題となりつつあります。
たとえば、2020年後半から2021年にかけて、コロナ禍における通信機器・家庭用電化製品の需要増や中国国内における半導体需要の急増などの要因により、世界的に半導体の需給が逼迫する状態が続く状態になりました。
これに影響を受けて、トヨタ、ホンダ、フォルクスワーゲンなどの主要自動車メーカーが減産を強いられるなど、半導体不足がそのまま自動車産業の業績に直結するような状況になっています(参考)。

企業結合を繰り返してきた歴史

ルネサスエレクトロニクスは、三菱電機・日立製作所系列のルネサステクノロジとNEC系列のNECエレクトロニクスが経営統合することにより誕生した企業です。

そして、企業誕生後も大型のM&Aを繰り返してきたことにより有名です。
2017年には米国インターシル(Intersil)を3000億円で、2019年には同国Integrated Device Technology(IDT)を7000億円で、そして2021年には英国Dialog Semiconductor Plcを6000億円で買収することを発表しました。
合計1兆円以上の費用をかけた連続M&Aを実施していますが、投資家や評論家からは必ずしも好意的な目で見られていない、というのが実情です。

これらの連続的な企業買収の結果、ルネサスの有利子負債比率は100%を超え、自己資本を有利子負債額が上回ります。
ルネサスは2017年ごろまで大規模リストラを繰り返し断行してきたことにより利益率を回復させましたが、ここにきて再度負債を増やし、本業利益を圧迫することになりますので、万が一企業買収によるシナジーが想定を下回った場合、再度のリストラなどによるスリム化が図られてもおかしくはない状況といえるでしょう。

そもそもルネサスは長引く経営不振により産業革新機構(現在ではINCJが引継)や取引先であるトヨタ自動車などが出資した経緯を持ちます(参考:ロイター)。
直近では、先に述べた半導体需要の急増などを受けて業績が急激に改善しているため良いですし、競争が激化する半導体産業にあってM&Aによる競争力の確保という観点からはM&Aが悪いということは無いのですが、就職を考える者としては会社とは数十年の付き合いになる可能性もあるのですから、各自で同社のB/Sをチェックして、自分なりに財務の健全性に対する意見を持った上で就職を検討したほうが良いかと思われます(就職対策などではなく、キャリアプラン形成の一環として)。

ルネサスエレクトロニクスの競合企業

半導体関連企業といっても、そのビジネス領域は様々です。
半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロン、コンデンサなどで世界的に有名な村田製作所、検査装置で有名なアドバンテスト、自動車用パワー半導体を手掛けるロームやデンソーから、あまり知られていないところではチップマウンタや自動倉庫を手掛けるJUKIなど、ひとくちに半導体といっても事業領域は実はあまりかぶっていません。ですから、事業内容を精査した上で競合企業を探すことが非常に重要です。

今回ご紹介しているルネサスエレクトロニクスのなかでも、特に強みとして再三ご紹介してきた車載向けマイコン領域における競合企業には、どのような企業が挙げられるでしょうか。
ルネサスは車載半導体では世界3位のシェアを誇りますが、上位にはオランダのNXP Semiconductorsや、ドイツのInfineon Technologiesが挙げられます。
国内企業での就職を考えている場合はルネサスが国内における車載半導体のトップランナーですから、特に就職先として選択に悩むほどの企業はないでしょう。

ただし、半導体を用いたソリューション企業としてルネサスエレクトロニクスを見た場合、先に挙げたロームなどが部分的に競合する可能性があります。
ロームについての企業研究情報記事はすでに掲載しておりますので、読み比べによって企業の特性の違いを見出すことができるかと思います。

関連記事関連記事ローム(ROHM)の選考対策・企業研究情報読む

日本国内に拠点をおく半導体産業関連企業であって、世界にプレゼンスを発揮する企業について詳しく知ることで、あえてルネサスエレクトロニクスを志望する理由を再発見することもできるでしょう。
当サイトで紹介している半導体関連企業のうち、代表的な二社をご紹介します。

東京応化工業

半導体の回路パターン焼付に用いられるフォトレジストにおいて、世界トップレベルのシェアを誇る企業です。
ルネサスエレクトロニクスとは異なり財務体質も極めて盤石であり、掛け値無しでおすすめできる企業の1つです。

関連記事関連記事東京応化工業の選考対策・企業研究情報読む

イビデン

インテル向けのICパッケージやプリント配線板を供給する企業です。
半導体関連事業のみならず発電事業やDPFの製造においても地位を確立した企業であり、長く勤めるにはうってつけの企業かと思われます。

関連記事関連記事イビデンの選考対策・企業研究情報読む

業績推移

売上高・営業利益・営業利益率

ルネサスエレクトロニクスの過去6年間における売上収益・営業利益・営業利益率の推移は上図のようになっています。
半導体企業の例にもれず非常に高い利益率を誇りますが、2015年から2019年までは一貫して利益率が減少傾向にありました。
2020年度は記事冒頭で述べた半導体不足の影響を受けてか営業利益率が急速に回復していますが、予断を許さない状況と考えられます。

有利子負債・自己資本の推移およびこれらの比率

ルネサスエレクトロニクスの財務健全性を評価する上で、簡単に有利子負債額や自己資本額の推移、有利子負債比率および総資本における自己資本の比率を見てみましょう。

ルネサスエレクトロニクスの自己資本額は、利益剰余金の積み上げにより安定的に上昇傾向を描いています。
一方で、FY2019には有利子負債の額が前年度比で4倍まで膨れ上がっています。ルネサスはM&Aに掛かる資金の調達を借入により行っていますから、これにより1年で5909億円もの借入金が増加したのが要因ですね。
これに伴い有利子負債比率は100%(D/Eレシオでいう1倍)を超えて126.6%となり、有利子負債が自己資本だけで返済しきれない金額まで膨らみました。

現状、半導体需要が旺盛であり来年度以降も本業における安定収益が見込めそうですから極端な有利子負債比率の上昇は抑え込めそうです。
なお、FY2021以降には英ダイアログの買収も控えていますが、こちらは新株発行による資金調達を主とするようですから、返済不要資本となり上記グラフには算入されません。

エリア別売上高

ルネサスエレクトロニクスの国別売上高は上図のようになっています(FY2020における情報)。
日本および中国だけで全体の半分以上を占めており、売上のほとんどをアジア圏が占めていることがわかります。

エリア別の比較は過去の情報とも比較すると有用かと思いますので、気になった方は決算短信を読むことをおすすめします。

選考対策

志望動機・面接対策

志望動機は中期経営計画から逆算して立てると、「その会社が目指すポイント」と「そこに到達するために活かせるあなた自身の強み」をマッチさせることが容易であり、オススメです。
方法論についての詳細は以下の記事に記載してありますので、読むことをオススメします。

関連記事関連記事「志望動機」は中長期経営計画から逆算しよう読む

とはいえ、ルネサスエレクトロニクスには中期経営計画がありませんから、企業理念と志望動機を直接結びつける必要があります。
ルネサスの企業理念は「To Make Our Lives Easier」であり、補足として「自社製品およびソリューションを自動車・産業・インフラ・IoTの4つの成長分野に提供することで、社会をより安全・健康・スマートに発展させる」(要約)ことを企業目的としています。
ですから、ルネサスエレクトロニクスの事業を通じて、自分が社会をどのように発展させたいのか、ということを語れるようにしておくと良いでしょう。

Webテスト

ルネサスエレクトロニクスのWebテストは、SPIとなっています。

SPIは時間勝負の試験ですから、数をこなして条件反射的に問題を解けるようにすることが通過への近道です。
逆に言えば、対策さえすれば誰でも通過できるのがWebテストですから、対策を疎かにして足切られてしまうのは余りにも勿体ないことです。

本を買って勉強するのも良いですが、当サイトでは完全無料でSPIの練習問題を多数公開しています。
下記リンクからジャンル別に問題を解くことができますので、ぜひご利用ください。

SPIの練習問題一覧

企業研究をより深める

当サイトの企業研究記事は、主に企業が発行する決算短信や有価証券報告書、業界専門紙、信用調査会社のレポートなど信用できる情報源を基に分析・公開しています。
しかし、決算短信や有価証券報告書などに記載されている内容をすべてまとめているわけではありません。
ご自身でこれらの資料を読む力をつけておくことで、より深い企業研究が実現するかと思います。
決算資料の読み方は下記記事にてまとめていますから、ぜひこちらを参考にご自身なりの企業研究方法を確立してみてくださいね!

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インターンシップ

ルネサスエレクトロニクスでは、技術系職種の求職者に向けた実務型インターンシップを開催しています。
インターンシップへの参加を通して企業研究を深めることができるほか、選考での優遇を得たり、自分がやりたい仕事かどうかの見極めができるかと思います。

実務型インターンシップは業務内容に関して自己の認識のすり合わせができる点で非常に貴重な機会であるほか、社員とのコミュニケーションを通して会社のリアルを知ることができる点で非常に有用です。
また、実務に触れさせることにより学生の能力を測る、という意味合いも持ち合わせており、選考との直結度は非常に高いことが大半です。
実務型インターンシップで有能と判断されることこそが内定への近道ですから、しっかりと対策をしてから挑みましょう。
当サイトでは、インターンシップ中に活用できる小ネタを多数ご紹介しています。ぜひ参考にしながら、インターンシップを悔いなきよう過ごしてください。

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