TOPIX Core30が就職で勝ち組?TOPIXや日経などの株価指標だけで企業を選定してはいけない理由

この記事について

しばしばTOPIX Core30に就職することがステータスであるかのように考える就活生が散見されますが、株価指標と就職活動には何ら共通性がありません。本記事では、こうした株価指標で企業選択を行うことの過ちと、正しい企業選択のあり方の1例をご紹介します。

SNSでシェアしよう!

目次

はじめに

こんにちは。
皆さんは「TOPIX Core 30」だとか、「日経225」だとか言った言葉を耳にしたことはありますか。
これらの指標は、ざっくり言ってしまえば「株式市場で人気のある企業」を寄せ集めたものです。
日本人ならば1度は名前を聞いたことがあるような企業群ばかりだからか、就職市場においてもしばしばこれらの指標を用いて「Core 30に就職できたら勝ち組!」などと言ったことを言う人も居ますね。

本日の記事では、こういった言説に対して「株式市場の指標を当てにして就職活動で企業選びをすることは間違いである」ということを、3つの観点からお話したいと思います。
特に「勝ち組」だとか「負け組」といったようなレッテルを気にしてしまう方には是非読んでいただきたい内容となっていますので、宜しくどうぞ。

指標について

まず、代表的な株価指標について簡単に解説します。

TOPIX

TOPIXは、東京証券取引所が算出・公表している株価指標群です。
時価総額・流動性の高さを考慮してランク付けされており、次のような種類があります。

  • TOPIX Core30
  • TOPIX Large70
  • TOPIX Mid400
  • TOPIX Small
  • TOPIX 100
  • TOPIX 500
  • TOPIX 1000

日経平均

日経指数は、日本経済新聞社が主体となって公表している株価指数です。
代表的なものでは、

  • 日経平均225
  • JPX日経400(東京証券取引所と共同)
  • 日経株価指数300
  • 日経JAPAN1000

などといった指標が存在しています。
この中で最も有名なものは日経平均225でしょう。


さて、これらのインデックスにおいては、「時価総額」「流動性」の2つが基準となって企業が選定されています。

「時価総額」は企業の株価に発行済株式総数を掛けた金額であり、言わば企業の価値を金額に換算したものと言えるでしょう。
「流動性」とは、株式が市場に出回っている度合いを示します。流動性が低い銘柄は株式市場で人気が無いとも言い換えることが出来るでしょう。

さて、これらの指標を見れば、株式指標に採用されている銘柄=「企業の価値が高く、人気も高い」企業であり、指標採用企業に就職を目指すことが己の幸せに繋がると感じるかもしれません。

しかし、そうではありません
そもそもこうした企業価値を己のステータスに置き換えること自体に因果関係がなく間違いとも言えますが、それ以外にもいくつかの理由が挙げられます。
まずは、なぜ「TOPIX Core30だから」という理由だけで企業を選んではいけないのか、3つの理由をご紹介します。

理由1:企業の実力との相関

1つ目の理由は、
株式市場における流動性・時価総額の高さは、企業の実力と必ずしも比例しない
からです。

(参考)JTの株価チャート

例えば、TOPIX Core30採用銘柄であるJT(日本たばこ産業)を見てみましょう。
業績ハイライトを見ていただくと分かるのですが、売上高は横ばい、営業利益は右肩下がりになっており、株価も2016年をピークに右肩下がりです。
これは国内外でのたばこ販売量が下降トレンドにあることが主な原因と言われていますが、JTはたばこ産業以外にたいした利益の柱を有していないため、この状況から脱却できていません。
これを「斜陽産業」と呼ばずしてなんと呼べば良いのか分かりませんが、「元国営」「安定配当」などといった理由から株式市場では未だに根強く買い支える層が存在しており、それにより流動性が確保されています。

このことは、TOPIX Core30などから除外された企業を見ても分かることでしょう。
昨今不祥事が相次いでいたり、業績不振が著しい、東京電力、東芝、日産自動車、日本製鉄も元Core30銘柄でした。
投資家は、投資先の業績が振るわなければ株式を売却すれば済む話ですが、従業員はそうではありません。
日本は未だ年功序列・終身雇用が顕著ですから、業績不振が続けばボーナスカットやリストラなど悪影響も免れないことでしょう。
転職に関しても、圧倒的多数はキャリアダウン型の転職しかなし得ない現状があるなか、新卒就職先で敢えて懸念要素が残る企業を選択する理由はありません。

このように、たとえ今現在TOPIX Core30やその他の指標に採用されている企業であっても、必ずしもその地位は安泰ではないということが伺えます。
実際、TOPIX構成銘柄は毎年のように見直されており、時代に合わせて変化を続けています。
先に例を上げたJTも、このまま行けば10年後にはCore30から除外されている可能性もあるのではないでしょうか。

*2021/03/18追記*

2020年10月をもってTOPIX Core 30から日本たばこ産業は除外されました。
10年後と言わず、記事を書いてからたった2ヶ月で除外されるというスピード感には笑ってしまいました。

このように今TOPIX Core30に採用されてるといっても、社会情勢などによりその地位は永続的なものではない、ということにも注意を払う必要があります。

理由2:「やりたい仕事」ができるか?

2つめの理由は、
「どのような会社に入るか」も重要ですが、「どのような職種で入るか」はそれ以上に重要
だからです。

有名企業に入りたいがあまり、その気もないのにソルジャー採用と呼ばれるような職種で就職してしまっては、待遇に差が出るのみならず、その後のキャリアに影響を与える可能性があります。

具体的な社名を挙げるのは控えますが、例えば金融業界などはいわゆる出世枠(ブレイン採用)とそうでない枠(ソルジャー採用)が明確です。
「なんのために新卒でその会社に入るのか?」ということを考えることで、自分に向いている職種がブレーン採用か、それともソルジャー採用でも構わないのか、ということが明確になることでしょう。

理由3:日経225のアンバランスさ

日経225に限った話ですが、この指標は投資家の間では「欠陥指標」として有名であり、就活生はおろか投資家にさえ疑念の目を向けられた指標である、ということにも注意が必要です。

その理由は以下の2つが挙げられます。

  • 日経225指数は「株価平均型株価指数」であり指標として歪みが存在するため、今後是正される可能性がある
  • 長い歴史を持つ指数であるため、一部の銘柄は必ずしも日本を代表する企業ではない

それぞれについて解説します。

日経225の歪み

日経225は株価の単純平均をとった指数ですから、額面価格が高い銘柄(値がさ株)に非常に影響を受けやすい指数です。
具体的には、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、エムスリーなどの企業ですね。地合いが悪い日には、日経平均に採用されている225銘柄のうち200銘柄が下げているのに、上記4銘柄だけが上がっているから日経平均だけを見ればプラス、ということもあります。

このように日経225は手放しで参考にすることができない指数でありますから、今後日経新聞社による手直しが入る可能性も否定できません(もっとも、ETFなどへの影響を考えると実際に是正することは難しいでしょうが)。
また、もちろん日経225も毎年構成銘柄の入れ替えが実施されています。直近では、東証二部降格となった千代田化工建設やTOBによる上場廃止となったファミリーマート、NTTドコモなどが除外され、オムロン、エムスリー、ネクソン、シャープなどが採用されています。

以上のことから、日経225もTOPIX Core30と同じく、現時点で構成銘柄に採用されてるとはいえ、いつまでもその地位が安泰とは限らない、ということを認識しておく必要があるでしょう。

日経225における採用銘柄の偏り

日経225は主に東京証券取引所に上場している銘柄から構成されているため、旧大阪証券取引所に上場していた企業(関西系企業)や、グロース企業(=業績の成長が著しい、歴史の浅い企業)の組入が完全ではありません
有名所でいえば、

  • 任天堂
  • 日本電産
  • 村田製作所
  • キーエンス

などは日本を代表する企業であるにも関わらず、日経225には採用されていません。
(ただしTOPIX Core30には採用されています)

また逆に、歴史が長い指数であるがゆえに、現在の業績がかんばしくない企業も採用銘柄として残り続けている点も問題です。
こちらの例を挙げると、

  • 三菱自動車工業
  • シチズン時計
  • 三井E&Sホールディングス

このあたりは企業の業績が下落基調であったり、主軸を置く市場が縮小傾向にあります。
もちろんかつては栄華を誇った企業ですし、今現在でも知らない人はいないほど有名な企業ではあります。しかしながら、40年以上勤め上げる企業を選ぶ就活生に対しては手放しで勧められる企業とは言い難い側面もあります。

このように、「225指数に採用されているから無条件で良い企業!また採用されていないから悪い企業!」という決め付けは全くの誤ちであることを認識しなければなりません。

では、どのような会社ならば良いのか?

会社選びの軸は、「自分が最も幸せになれる」ことを前提に置くべきです。
宗教的な意味ではなく、業務内容・給与・勤務地・ワークライフバランス・企業風土などを考慮した上で、最もコストパフォーマンスが高い企業を選ぶ、ということです。

世の中には想像以上に多くの会社があり、例えば東証一部上場企業だけでも2000社を超える企業が存在しています。
ここからは、当サイトで過去にご紹介したことがある企業の中からいくつか代表的な優良企業をご紹介したいと思います。

(工作機械)DMG森精機

機械を作る機械であることからマザーマシンとも呼ばれる「工作機械」に関して、世界二大巨頭の一角を占める企業です。
工作機械が無ければ、第二次産業革命以降加速し続けた大量消費社会を維持することは困難と見ることもできるかもしれません。それくらいあらゆる製造業の根幹に根差すのが工作機械であり、多大な社会的意義を持って働くことができるでしょう。
それのみならず、ワークライフバランスや給与といった社員の待遇も優れており、掛け値無しで勧められる企業の1つです。

関連記事関連記事DMG森精機の企業研究・選考対策読む

(IT)ミロク情報サービス

ERPソフトウェアや会計ソフトで国内トップクラスのシェアを誇るIT企業です。
「オービック」を知っている方は多くても、その同業他社であるミロク情報サービスを知っている方は数少ないかと思います。
創業以来の事業である会計ソフト以外にも新規事業を複数有していることから売上高・営業利益は右肩上がりであるほか、財務状況も健全であり、今後一層の成長が見込めます。

関連記事関連記事会計ソフト大手・ミロク情報サービスの企業研究・選考対策読む

(半導体・素材)イビデン

半導体製造に必須であるICパッケージやプリント配線板、ディーゼル車向け脱硝触媒で世界トップシェアを誇る企業です。
過去には「グローバルニッチトップ企業」として経済産業省に表彰されたこともあり、その実力はお墨付きです。
また、岐阜県大垣市一円に都市ガスを供給する「大垣ガス」の筆頭株主であるほか、大阪府高石市でプロパンガス供給を行うなどインフラ企業としての側面も有しています。

関連記事関連記事イビデンの企業研究・選考対策読む

(半導体)東京応化工業

半導体製造に必要不可欠であるフォトレジストで世界2位のシェアを誇る企業です。
半導体は現在他に類を見ない成長率を誇る産業ですが、需要に合致する高精細な半導体製造は同社のフォトレジストが無ければ実現できないため、社会的意義が大きい仕事と言えるでしょう。
東京応化工業は財務基盤も安定しているため、長く勤められる企業でしょう。

関連記事関連記事東京応化工業の企業研究・選考対策読む

(インフラ)中日本高速道路

東名高速・新東名高速など、愛知県~東京都間の大動脈である高速道路の管理運営を行う企業です。
上場はしていませんが、人の流れのみながらず物流運送までも一手に引き受けていることから、その企業価値はJR東海と同等か、それ以上でしょう。
社員の待遇面ではJR東海に劣りますが、就職難易度は相対的に低いため、穴場とも言えるでしょう。

関連記事関連記事NEXCO中日本の企業研究・選考対策読む

(サービス) IBJ

ブライダル・結婚相談所事業を営む企業のなかで国内最大手。競合他社の積極的なM&AやLINEと組んだマッチングアプリサービス「HOP」のリリースなど、現在進行形で急速な事業拡大を進めています。その甲斐あって売上高は年間20%前後の成長率を誇り、「日本の少子高齢化」という課題に真っ向から立ち向っている企業です。

関連記事関連記事IBJの選考対策・企業研究情報読む

その他の企業

ここで挙げた例はほんの一例です。
ほかにも、東京都23区内で不動産業を営むヒューリック(東証一部)セメント首位の太平洋セメント(東証一部)パイルなどコンクリート製品大手の三谷セキサン(東証一部)、はてには猟銃国内トップシェアであるミロク(東証二部)など、パッと思いつくだけでも両手の指の数では数え切れません。
一度、自分が興味を持った業界について調べてみることをオススメします。

当サイトでは、他にも様々な業界について企業研究情報を公開しています。
下のボタンから業界絞り込みができますので、ぜひ御覧ください。

企業研究を探す

また、企業研究リクエストも受け付けています。

応募したい企業が決まったら…

企業選びが終わったら、あとは選考に参加するだけです。
インターンシップや本選考では必ず志望動機が尋ねられますが、その際は企業と自分の過去、そして将来をマッチングさせると受け答えがかんたんです。
詳細は以下の記事にて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事関連記事「志望動機」は中長期経営計画から逆算しよう読む

インターンシップや説明会など、選考序盤に関する記事は以下からご覧いただけます。

関連記事関連記事説明会でひたすらメモを取っても無意味。まずは「社員の名前」だけ押さえろ読む 関連記事関連記事明日からインターンシップで使えるテクニック集読む

おわりに

TOPIXや日経平均構成銘柄など、見てくれの指標、いわばブランドだけで企業選びをすることは、自分自身の将来に対して不誠実のみならず、それらの企業に対しても失礼な行為であると、私は個人的に思います。
本日の記事内容も参考に、「何をやっている会社なのか?」をはじめ企業の内面を見た上で、「自分がその会社で何をできるのか?」ということを突き詰めることで、内定のみならず幸せな未来にも近づくことができることでしょう。

関連記事関連記事ES提出20社が普通?ESを出しすぎなのは自己分析が出来ていないからではないか読む