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目次
はじめに
「地元に帰りたい」という軸を就職活動において持っている場合、次のような理由から地方銀行は有力な選択肢でしょう。
- 転居を伴う転勤可能性の低さ
- 平均以上の給与が貰えること
- 採用人数の多さ、就職の楽さ
- 転職を視野に入れた場合に比較的つぶしが利くこと
しかし、完璧な就職先というものは存在しません。
ネットバンキングの普及や少子高齢化、地方人口の減少といった要因により、かつてほど地方銀行は安泰といえる就職先では無くなりました。
そのような状況だからこそ、企業を見る目を養い「長く勤められる」地方銀行を選ぶ必要があります。
本サイトでは「新卒就職における地方銀行の選び方」を公開しています。
本記事では、この「選び方」に沿って、特に岐阜県内に本店を置く地方銀行を比較します。
関連記事【新卒就活】将来後悔しない地方銀行の選び方読む
今回比較する銀行
岐阜県内に本店を置く地方銀行を比較します。
他県から進出している銀行は今回算定対象外とします。
岐阜県内には岐阜信用金庫などの信用金庫も複数ありますが、事業規模が近い次の二行についてピックアップしました。
大垣共立銀行
1896年設立。第百二十九国立銀行が前身。
2015年4月から、十六銀行に代わって岐阜県の指定金融機関に。
十六銀行
1877年設立。2010年には旧岐阜銀行を吸収合併。
岐阜県・愛知県のほか、三重県にも進出。
顧客の東南アジア進出支援を手掛けるため、東南アジアにも駐在員事務所を開設。
長らく岐阜県の指定金融機関であったが、2015年に大垣共立銀行に取って代わられる。
収益性の比較
地方銀行の収益性を比較する上で重視すべきポイントは次の3つです。
- 経常利益
- 経常収益経常利益率
- 総資産経常利益率(ROA)
これらの指標が意味するところは「新卒就職における地方銀行の選び方」を御覧ください。
これらの数値について、2011年から2018年度の数値を比較します。
経常利益
二行の経常利益の推移は上の画像のようになっています。
十六銀行が大垣共立銀行を上回った年度が5年、その逆は3年となっており、十六銀行が僅かに有利と言えそうです。
しかし、いずれの年度においてもその差は僅かであり、どちらが突出している、という評価を下すことはできません。
経常収益経常利益率
経常収益経常利益率についても、ともに拮抗しています。
尤も、十六銀行が年度によって高低が激しい一方で、大垣共立銀行は15%前後で非常に安定した数値を保っていることが特徴として読み取れるでしょう。
しかし、大垣共立銀行は2018年度には経常収益経常利益率が10%を切っており、少しこころもとない結果となっています。
銀行の成長を見る場合には経常利益率の伸びが重要となります。
その点においては、十六銀行・大垣共立銀行はともに成長が出来ていないと言えるかもしれません。
業界と比べる
2019年度、全国最高の経常収益経常利益率を誇った企業は京都銀行です。
その数値は33.84%と、十六銀行・大垣共立銀行をともに大幅に凌駕する値を叩き出しています。
京都銀行は経常収益こそ1335.39億円と二行と大差ありませんが、経常利益は451.84億円。
収益に対し非常に高い利益を上げていることがわかります。
地銀のなかでも格差が開いていることがよく分かります。
総資産経常利益率
総資産経常利益率(ROA)についても二行は非常に拮抗しており、優劣をつけることは困難です。
業界と比べる
こういった数値は業界全体と比較することが必要ですから、他行と比較してみましょう(以下数値は全て2019年3月期)。
地銀は全部で104行ありますが、その中でROAトップに躍り出るのはスルガ銀行の1.54%。
もっとも、2位のめぶきFGが0.56%であることを考えればスルガ銀行は異色とも言えそうです。
一方で、十六銀行(0.22%)は59位、大垣共立銀行(0.13%)は93位と平均以下であることがわかります。
財務健全性の比較
財務の健全性について検討してみましょう。
その企業がどれほど安定的な財務状態にあるか考える際には、自己資本比率という指標が用いられます。
上図は二行の自己資本比率の推移について、2011年度から2018年度の数値をプロットしたものです。
この図をもとに考えると、ともに自己資本比率は改善傾向にあることが分かります。
自己資本比率の業界平均について、国内業務を主とする銀行においては4%程度とされています。
したがって、十六銀行・大垣共立銀行ともに財務の健全性には問題がないと言えるでしょう。
さらに二行間で比較をするならば、十六銀行が少し勝っていると言えるでしょう。
もっとも業界全体で見た場合、たとえばセブン銀行の自己資本比率は18.6%、京都銀行は8.7%となっています。
全国規模で見ると十六銀行が特に優れているとは言えない点には注意が必要でしょう。
仕事のキツさ、給与など待遇面はほぼ同じ
十六銀行と大垣共立銀行の経営面以外の側面についても軽く見ておきましょう。
実はこの2行、待遇面ではほとんど差がありません。
有価証券報告書に記載されている内容を少し見てみましょう。
十六銀行
- 従業員数:2480名
- 平均年齢:39.5歳
- 平均勤続年数:16.6年
- 平均年間給与:656.6万円
大垣共立銀行
- 従業員数:2900名
- 平均年齢:36.3歳
- 平均勤続年数:13.4年
- 平均年収:613.5万円
2行の比較
就活生が2つの会社を比較する際、最も気になるのは年収でしょう。
十六銀行・大垣共立銀行はともに管理監督職を算定対象に含んだ給与算出をしており、多少は有報記載内容が参考になります。
一見すると十六銀行が高く見えますが、十六銀行は平均年齢が39.5歳と大垣共立銀行より3歳近く高いため、その影響が強いものと思われます。
十六銀行に勤める39歳の人が656万円貰っており、大垣共立銀行に勤める36歳の人が613万円貰っている、という感じですね。
昇給幅などを考慮しても、ほとんど差がないということがお分かりいただけるかと思います。
とはいえ、上記は恐らく一般職を含んでいるため、総合職採用についてはもう少し給与が高いと思われます。
人によって昇進スピードはまちまちですから一概にどうとは言えませんが、上記の数字+50万円~150万円を想定しておけば良いでしょう。
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仕事内容や残業時間など、他の待遇面についてですが、どちらも同じ「地方銀行」というククリに分類される上、営業地域まで同じなので大きく差があるということは非常に考えづらいです。
したがって、これら2行を待遇面で差別化することは困難だと言えるでしょう。
結論
岐阜県内だけで見た場合、大垣共立銀行より十六銀行の方が安心して就職できる企業であると考えられます。
一方で、全国に目を向けた場合二行ともに少し心もとない経営状況であることは否めません。
JCR(日本格付研究所)による銀行格付けでは二行ともに「A(安定的)」の評価を得ていますが、現状に甘んじることない企業運営が必要かと思われます。