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目次
はじめに
SPIといえば、就職市場における適性検査のデファクトスタンダードです。
他にも玉手箱やTG-WEBなど適性検査キットは数あれど、採用企業数で見ればSPIのシェアは圧倒的です。
そんなSPIに、「構造的把握力検査」という試験があることをご存知ですか?
2013年ごろから新しく追加された試験であり、より地頭力を計られる問題構成となっています。
本記事では、SPIの構造的把握力検査について、例題付きでコツや通過基準をご説明します!
「構造的把握力検査」の概要
構造的把握力をもっと陳腐な言葉で言い換えるならば「ロジカルシンキング力」になります。
国語・算数の2観点から、あなたのロジカルシンキング力を試してくる試験が、この構造的把握力検査になります。
出題方式
テストセンターで課されるのみであり、Webテスト形式・ペーパーテスト形式のSPIでは課されません。
また、言語・非言語など他分野と同じく、一度受けたら結果を使い回すことも可能です。
所要時間・難易度
構造的把握力検査の受験に必要な時間はおよそ20分です。
1回の受験につき、約20問が出題されます。
構造的把握力検査の難易度は、SPIの中では少し難しいと言わざるを得ません。
第一に、情報源の少なさから必然的にあまり対策できていない状態で受けることになるからです。
また、問題あたりの回答時間が言語・非言語などの分野に比べて短いため、コツを理解していなければ面食らうことになります。
とはいえ、SPI自体が一般常識クイズのようなものですから、通常レベルの言語処理能力を持っていれば高得点を取る素養は有ります。
例題を解きながら、構造的把握力検査の出題に慣れてしまえばどうとでもなる試験ですよ!
実施企業
- 電通
- NTTコミュニケーションズ
- 丸紅
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
年を追うごとに出題企業の幅が広がっているようです。
例題
ネタバレ防止の為、回答はページの一番下に記載しています。
問題はすべてオリジナルです。
紙とペンを用意した上で問題に挑んでください。
1問あたりの目標回答時間は1分です。
言語系
アからオの文章を「文の構造」によってPグループ(2つ)とQグループ(3つ)に分類したとき、Pグループに分類されるものはどれか。
ア:システムの障害が発生したから、今日は家に帰れないだろう。
イ:来月のコンサートを聴きに行きたいから、明日には有給を申請しよう。
ウ:先方との認識が食い違っていたから、今回の案件は上手く行かなかった。
エ:語学力を磨きたいから、会社の制度で語学留学に行くことにした。
オ:昨日食べた寿司が腐っていたから、今日は食あたりを起こしてしまった。
アからオの会話で、Yの発言は論理的に間違っている。「間違い方」でPグループ(2つ)とQグループ(3つ)に分類したとき、Pグループに分類されるものはどれか。
ア:
X:「Aさんの会社は業績が好調だ」
Y:「Aさんも仕事ができる人間に違いない」
イ:
X:「Bさんは3年間アメリカに留学していた」
Y:「Bさんはさぞかし英語が喋れるに違いない」
ウ:
X:「Cさんの所属するサッカー部は決勝大会に進出した」
Y:「Cさんはスポーツが上手いのだろう」
エ:
X:「Dさんは有名大学の法学部出身だ」
Y:「Dさんは法律に詳しいに違いない」
オ:
X:「Eさんはピアノコンクールで優勝した」
Y:「Eさんはどんな楽器でも演奏できるに違いない」
アからオの文章を「文の構造」によってPグループ(2つ)とQグループ(3つ)に分類したとき、Pグループに分類されるものはどれか。
ア:この豆腐は今日だけ10円だが、特売セールをしているのだろうか。
イ:上司を説得したが、聞き入れてもらうことはできなかった。
ウ:彼は一生懸命に勉強したが、それは国家試験をパスするためだ。
エ:彼はピアノが弾けるが、サッカーはてんで駄目だ。
オ:オオウミガラスは北極圏に生息していたが、濫獲により絶滅してしまった。
アからオの文章を「文の構造」によってPグループ(2つ)とQグループ(3つ)に分類したとき、Pグループに分類されるものはどれか。
ア:部長はA社との商談に乗り気であったが、私はB社のほうが良いことを力説した。
イ:英語を学習したい友人のために、外国人の知り合いを紹介した。
ウ:セールスマンに保険を紹介されたが、既に他の保険に入っていたため断ってしまった。
エ:景気が下降局面に入ったとニュースで報じられていたが、私はまだまだ上昇する余地があると思う。
オ:友人に菜食主義を勧められたので、私も一週間肉を食べない生活をしてみることにした。
非言語系
次のアからエまでのうち、問題の構造が似ているものを2つ選びなさい。
ア:15人の中からクラス代表を3人選ぶ組み合わせは何通りあるか。
イ:ジョーカーを除く52枚のトランプから同時に3枚のカードを選んだとき、すべてハート柄である組み合わせは何通りあるか。
ウ:1,2,3,4,5の5つの数字を並び替えて5桁の整数を作る組み合わせは何通りあるか。
エ:w+x+y+z=10を満たす自然数w,x,y,zの解の個数は何通りあるか。
次のアからエまでのうち、問題の構造が似ているものを2つ選びなさい。
ア:表の出る確率が1/2であるコインを2回投げるとき、少なくとも1回表が出る確率はいくらか。
イ:1年生5人、2年生8人、3年生4人から1人選ぶとき、1年生または2年生である確率はいくらか。
ウ:AさんとBさんが同時に互いの持つサイコロを振る。ともに1の目が出る確率はいくらか。
エ:信号Pを青で通過できる確率が0.3、信号Qを青で通過できる確率が0.2であるとき、どちらか一方だけ青で通過できる確率はいくらか。
次のアからエまでのうち、問題の構造が似ているものを2つ選びなさい。
ア:今年A公園に訪れた観光客のうち女性は25%であり、3800人であった。観光客は全部で何人か。
イ:B社の労働組合に加入している人数は140名であった。B社に1500名の社員がいるとき、労働組合に加入している社員の割合はいくらか。
ウ:C店でラーメンを1割引で販売したら810円であった。定価はいくらか。
エ:D高校の卒業生250人のうち、80%は就職した。更に、就職した人のうち製造業に就職した人数は6割であった。製造業以外に就職した人数は全部で何人か。
次のアからエまでのうち、問題の構造が似ているものを2つ選びなさい。
ア:AとBが1800円の食事を3:2の割合で支払うとき、Aの払う金額はいくらか。
イ:CとDの貯金額は7:3であり、Dの貯金額は12万円である。2人の貯金の合計額はいくらか。
ウ:E市とF市の人口差は5:4であったが、両市が合併して18万人の市となった。E市の人口は何人であったか。
エ:GとHの兄弟のお小遣いの金額は1000円の差があり。その比は5:3である。Gのおこづかいはいくらか。
回答のコツ
言語系
前後の文章のつながりを意識することが重要です。
逆接なのか順接なのか。
理由を表しているのか、そうでないのか。等々…。
また、文章の内容に囚われすぎないことが最も重要であるように感じます。
というのも、設問において殆どの場合「文章の構造」でカテゴライズせよと出題されているからです。
問題の焦点が文章の内容にある場合は、例題2のように問題文において明示されます。
あくまで「構造的把握力」の試験であって、文章構造を把握する力こそ求められますが現代文の能力は求められないと言えるでしょう。
非言語系
何よりも立式を心がけてください。
実際に答えを求める必要はありません。
計算式の違い(掛け算で求めるのか割り算で求めるのかなど)に気がつくことができたら、回答はすぐそこです。
通過基準・高得点のサイン
通過基準は企業によりますが、6割あれば及第点、8割取れていればあらゆる企業でフリーパスでしょう。
高得点の判断基準についてですが、構造的把握力に関しては明確なフラグは存在しません。
例えば非言語分野であれば推論の出題数、タブの数によって得点率を類推することができますが、構造的把握力で出題される問題は固定です。
高得点でも低得点でも出題される問題の難易度は一定ということですから、純粋に正答率・誤謬率の勝負になります。
落ち着いて問題を解きましょう。
対策本は数少ない
構造的把握力検査は、試験が登場して間もないこと、そして非言語・言語の問題のように一朝一夕での対策が困難であることから、対策本は余り出回っていません。
強いて言えば上記画像の「構造的把握力検査攻略ハンドブック」が出版されています。
しかし、出題企業の少なさを鑑みるに、そこまで率先して対策すべき分野とは言い難いです。
(構造的把握力検査の対策にお金と時間を費やすくらいなら、面接やESに力を入れたほうがぶっちゃけ100倍良いです。)
とはいえ、課された試験である以上逃げることはできませんから、志望度の高い企業が当該試験を課している場合は書籍を使った勉強も良いのではないでしょうか。
構造的把握力検査は周りも対策できていないからこそ、対策の効果を実感できる分野です。
引くも戦略、攻めるも戦略ですね!
回答
言語系
例題1: イとエ
ア・ウ・オは前半が過去の出来事、イ・エは前半が将来の目的を表しています。
例題2: アとウ
ア・ウ・エはXさんの発言が「所属組織について」語っているに過ぎず、Yさんの発言は必ずしも当人の功績では無い点で誤っています。
イ・オは、Xさんの発言が「当人について」のものであり、Yさんの発言は単純に論理が飛躍している点で誤っています。
例題3: イとエ
ア・ウ・オは後半が前半の理由を示しています。
イ・エは逆説で前後の文章が接続されています。
例題4: イとオ
ア・ウ・オは後半の文章が前半の文章に対し「反対・否定」を示しています。
イ・オは後半の文章が前半の文章に対し「賛成・肯定」を示しています。
非言語系
例題1: アとイ
ア:組み合わせの問題。15C3=455通り
イ:組み合わせの問題。13C3=286通り
ウ:順列の問題。5!=5P5=120通り
エ:重複組合せの問題。10!/7!×3!=120通り
例題2: イとエ
ア:余事象の問題。1-(1/2)^2=3/4
イ:和の法則の問題(排反)。5/17+8/17=13/17
ウ:積の法則の問題(独立)。(1/6)×(1/6)=1/36
エ:和の法則の問題(排反)。{(3/10)×(8/10)}+{(7/10)×(2/10)}=38/100=19/50
例題3: アとウ
ア:実数÷割合=答え。3800÷0.25=15200
イ:実数÷実数=答え。1500÷140=10.71…
ウ:実数÷割合=答え。810÷0.9=900
エ:掛け算。250×0.8×(1-0.6)=80
例題4: アとウ
ア:合計を比率で内分する。1800 × 3/5 = 1080
イ:Dの貯金額に比率を掛け算する。120000 × (3+7)/3 = 400000
ウ:合計を比率で内分する。180000 × 5/9 = 100000
エ:比率計算の問題。Gのおこづかいをxと置くと、x:x-1000=5:3 計算してx=2500