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目次
企業情報
概要
画像引用:イビデン
イビデンは岐阜県大垣市に本社を置く、PWBを始めとする電子部品やセラミック部品を製造するメーカーです。
連結売上高3000億円を誇る岐阜県下有数の名門企業であり、抜群の財務体質を誇る超優良企業でもあります。
社名は創業時に電力事業を営んでいたことに由来し(創業時:揖斐川電力)、その後も化学機器メーカー、電気機器メーカーと事業の軸足を移しています。
電力事業は今でも行っており、発電した電力を中部電力に売電しているほか、大垣市内に都市ガスを供給する大垣ガスの主要株主です。
更には関連会社のイビデンケミカルが大阪府高石市でプロパンガス事業を行っており、インフラ企業としての側面も有しています。
もともと豊田自動織機などとの関係が深い企業ですが、2017年にはデンソーとの資本提携を発表し益々トヨタグループとの結びつきを強めています。
基本情報
社名 | 株式会社イビデン |
創業 | 1912年11月25日 |
資本金 | 641億5200万円 |
売上高(連結) | 2959億9900万円 |
純利益(連結) | 113億2900万円 |
従業員数 | (連結)13019名(単独)3537名 |
事業紹介
イビデンは、ICパッケージなどを手掛ける「電子事業」、DPFや自動車排気系部品を手掛ける「セラミック事業」、「その他」の3セグメントを有しています。
これらの事業分野について、事業の概要や競合企業を詳しくご紹介します。
電子事業
イビデンの電子事業分野では、主にICパッケージやプリント配線板を供給しています。
・ICパッケージとは?
ICパッケージとは、その名の通り電子部品(IC、集積回路)を包み込むためのパッケージです。
半導体を外部から保護するための樹脂で出来た外殻部分と、プリント配線板(PWB)に接続するための端子部分から構成されています。
ICパッケージはあらゆる電子機器で使用されていますが、スマートフォンなど携帯端末が小型化できたのは半導体パッケージの小型化あってこそと言っても過言ではありません。
・プリント配線板とは?
コンピュータや電子機器の中身を見たことがある人ならば、上の画像のような緑色の基盤を目にしたことがあるかと思います。
これをプリント基板(PCB)と言いますが、PCBはプリント配線板(PWB)に各種部品を実装したものになります。
つまりPWBとは部品を何も装着していないコンピュータの頭脳部分であり、いかなる電子機器にも欠かすことのできない部品であると言うことができます。
高い世界シェアを誇る、イビデンのICパッケージ
先にも述べたように、ICパッケージはあらゆる電子機器の中に大量に使用されています。
半導体が「産業のコメ」とも形容される中、イビデンのICパッケージの世界シェアは50%を超えており、イビデンのICパッケージが情報化社会に対しいかに貢献してきたのか窺い知ることができます。
競合企業
イビデンのICパッケージ事業の競合企業には「新光電気工業」「日本特殊陶業」「京セラ」などが挙げられます。
新光電気工業とイビデンが国内二大メーカーといえ、これら2社は皆さんご存知IntelのICパッケージサプライヤーとして採用されています。
日本特殊陶業はMPUオーガニックパッケージでイビデン・新光電気工業に次ぎ世界三位であるほか、京セラはICパッケージ事業のほかプリント配線板事業でも競合しています。
もっとも、半導体産業は国内のみならず世界規模での競争が要求される業界です。
サムスングループの韓国・三星電機をはじめ、台湾・韓国の電子部品メーカーと価格・性能両面で競っていくことが要求されます。
セラミック事業
画像引用:イビデン
イビデンはセラミック(陶磁)商品を取り扱っており、主に自動車産業向けにDPFや脱硝触媒、排気管用断熱材など排気用部品・素材を供給しています。
・DPFとは?
DPFとは、ディーゼル微粒子捕集フィルターの略語であり、排気ガスを浄化する際に使用するフィルターのことです。
ディーゼルといえば黒煙を上げながら走る車、というのが一昔前の常識ですが、DPFによりエンジンから排出される黒煙のほとんどが吸収されています。
・脱硝触媒とは?
脱硝触媒とは、窒素酸化物を低減処理するための物質のことです。
たとえば日本では大気汚染防止法という法律により窒素酸化物の排出規制がなされており、窒素酸化物排出量を最小化する必要があります。
イビデンの脱硝触媒はディーゼル車や火力発電所に導入されており、先の法律の要求基準を満たすために用いられています。
高い世界シェアを誇る、イビデンのDPF
イビデンが高シェアを誇るのはICパッケージだけではありません。
DPFにおいても高い世界シェアを誇っており、なんと60%にも登ります。
欧州を中心にディーゼル車のシェアは減少傾向にありますが、日本や新興国においてはむしろ上昇トレンドに乗っています。
まだまだ先行きは明るいと言えるのではないでしょうか。
グローバルニッチトップ企業2020に選定
(2020年7月7日追記)
「世界シェアと利益を両立し、技術力を認められた企業」が表彰される、経済産業省のグローバルニッチトップ企業100選に同社が選定されています。
チタン分野で世界を牽引する「大阪チタニウムテクノロジーズ」などと並ぶ受賞であり、同社が世界シェアを席巻していることの裏付けにもなるでしょう。
業績推移
まずは売上高から見てみましょう。
年度によって差はあれど、基本的に電子部品事業がイビデンの稼ぎ頭であることが分かります。
一方で電子部品事業は年度によって売上高の変動幅が大きく、セラミック事業は堅調な売上推移を確認できます。
米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響もあり2020年3月期は自動車産業にとっては最悪の年でしたが、イビデンは売上高1.7%増とどこ吹く風です。
やはり高シェア製品を多数保持していること・電力販売など安定して利益を上げられるセグメントを保持しているので、安定性には眼を見張るものがありますね。
一方で、セグメント別経常利益の推移はこのようになっています。
2017年度に電子事業が、2020年度にセラミック事業がそれぞれ損失を計上しているものの、2つの事業部が相補関係にあることが伺えます。
なお、2017年度の電子事業の損失理由は、同社によればパソコン市場・ハイエンドスマートフォン市場の成長鈍化やFOWLP(ファンアウトウエハーレベルパッケージ)の上市とされています。
2017年度は経常利益で前年比88.9%減の23億円の収益があったものの、500億円の減損処理により純損益で628億円の損失を計上しています。
将来性
ここまで、イビデンの事業内容と年度別売上・経常利益の推移についてチェックしてきました。
ここからは、イビデンの「今後」に目を向け、就職する上での事業リスクなどについて考えましょう。
電子部門
半導体市場そのものは現在でも高い成長率を誇っており、2030年には100兆円産業になるとも噂されています。
しかし、ルネサスエレクトロニクスの経営危機やパナソニックの台湾メーカーへの半導体部門売却に代表されるように、グローバル競争のなかで日本の半導体企業は苦境に立たされています。
イビデンも全く対岸の火事とは言い切れないところがあるかと思います。
また、スマートフォン向け半導体の需要減少が懸念される中、車載市場など今後の成長が見込める産業においてシェアを拡大していくことが急務でしょう。
セラミック部門
イビデンのセラミック事業は、主にディーゼル車向けのDPFや脱硝触媒などの製品販売に頼るところが大きいことは既に述べたとおりです。
しかし、欧州ではディーゼル車規制が進んでおり、アイルランドでは2030年から、イギリスでは2035年から全面禁止が決定されているなど、今後立ち行きが苦しくなる可能性を十分に秘めています。
もっとも、ディーゼル車のシェアが落ち込んでいるのは欧米先進国の話であり、新興国市場は未だ健在です。
イビデンは既に新興国の大型車向けDPF市場におけるシェア拡大などに取り組んでおり、まだまだ拡販の余地があると言えるでしょう。
また、欧米のディーゼル市場縮小に伴いフランスに構える子会社「IBIDEN DPF France」を解散するなど生産体制の効率化を進めており、時代の変化への対応が着々と進行しています。
総括
イビデンは例年60%以上の自己資本比率を誇っており、また電力・ガスの卸販売などにより景気に左右されず利益を確保する体制が整っています。
景気変動の煽りを非常に受けやすい半導体・自動車産業にイビデンは身を置いていますが、これにより、2020年新型コロナウイルス流行により景気が大幅に後退した場面でも安定した収益を確保できています。
以上の理由から、電子部門・セラミック部門ともに先に述べたように世界情勢の変化に左右されるリスクはありますが、イビデンそのものの存続リスクは限りなく低いと結論づけます。
企業方針
イビデンは創業から間もなく110年を迎える長命企業です。
この歴史を踏まえた上で次の110年を築くため、「To The Next State 110 Plan」を2018年から2022年の5年間にかけて実施しています。
この資料の中では、既存事業のグローバル競争力を向上させるとともに、新規事業の創出・拡大を目標にすることが述べられています。
それぞれについて、「グローバル経験」や「ゼロベースで何かを成し遂げた経験」に絡めたエピソードを用意して話せばきっと歓迎されることでしょう。
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参考
選考情報
採用情報概要
- 理系採用人数: 42~56名
- 文系採用人数: 8~9名
採用人数は例年控えめですが、何と言ってもイビデンは地元大垣市に住まう学生以外からの知名度が圧倒的に低いです。
B2B企業であり、基本的に就活生の目に触れるタイミングが殆どないからですね。
しかし、中々の事業内容および財務体質を備えた企業であり、就職のコスパはかなり高いです。
インターンシップ優遇
あり
イビデンでは1dayインターンシップを開催しています。
事業内容に対する理解を深めることができるほか、後日フォローイベントへの案内があります。
イベントに足繁く通うことで志望度の高さをアピールしても良いでしょう。
関連記事インターンシップを内定に直結させるためのテクニック読む
選考フロー
ES→グループディスカッション→面接→最終面接
グループディスカッション
イビデンでは、選考フローの最初にグループディスカッションが待ち構えています。
出題されるお題は、主に次のようなものです:
- グローバルリーダーに必要な資質はなにか。
- 成長するグローバル企業とはどのようなものか。
特に定まった答えがあるようなものではありません。
イビデンに限らず、グループディスカッションは結論そのものより議論への貢献度がチェックされています。
メンバーの特性を活かしながら、議論に貢献することを心がけると良いでしょう。
関連記事グループディスカッションは何分前に行けばいいのか?GD必勝法が「始まる前」に潜む理由読む
面接
人事社員・現場社員の2名と学生1名の対面面接です。
主に次のようなことが質問されます。
- 志望動機
- 大学での研究テーマ
- 何故その研究をしようと思ったのか
- 研究で困難なことはあったか、どのように乗り越えたか
- 学生時代に頑張ったこと
- イビデンでやってみたい仕事
- 10年後、20年後にどのような人間になっていたいか
- 趣味
オーソドックスな質問ばかりです。
学生のパーソナリティを見る質問が多いため、企業とのマッチングを損なわない範囲で素直に答えると良いでしょう。
最終面接
管理職・役員クラスの社員2名と学生1名の対面面接です。
主に次のようなことが質問されます。
- 他社の選考状況
- 志望動機
- 入社してからやってみたい仕事
- どのような社会人になりたいか
- 海外勤務は大丈夫か
一次面接に似た質問に加え、他社の選考状況などの質問がなされます。
イビデンが第一志望であると答えるに際して、客観的に納得できる理由を用意しておくと良いでしょう。
最終面接まで来れば内定はすぐそこです。
年収など
- 従業員数:3525名
- 平均年齢:40.3歳
- 平均勤続年数:17.4年
- 平均年収:645.5万円
セグメント別従業員数
- 電子:2296名
- セラミック:640名
- 全社:589名
第166期有価証券報告書より抜粋
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