SNSでシェアしよう!
目次
ビジネスフレームワークの必要性
世の中には、「巨人の肩の上に立つ」という言葉があります。
偉大な先人の残した基礎に基づいてことを行えば車輪の再発明をしなくて済む、という意味ですが、これはビジネスにおいても同様です。
今回ご紹介するPEST分析は、ビジネスの世界において生み出されたフレームワークの1つです。
今回の記事では、ビジネスフレームワークのなかでもとくにPEST分析について、非常に基礎的な部分、すなわちPESTの各要素の紹介から、PEST分析を活用した思考方法、就職活動におけるPEST分析の活用方法に至るまでご紹介します。
「わざわざ就活でPEST分析を使うメリットってあるの?」という疑問を解消できるような内容になっているので是非御覧ください!
PEST分析とは?
PEST分析は、「Politics」「Economy」「Society」「Technology」の4つの要素の頭文字を取っています。
企業活動を取り巻くこれら4要素について情報を整理し、中長期的な経営戦略を立案する際の礎とする手法です。
図で表現すると次のようになります。
これらはいずれも企業が単独で統制することができないものであり、適応して行かざるを得ない要素です。
これらを適切に整理した上で将来予測を立てることで、時代の趨勢や社会のニーズに沿った経営戦略を生み出すことができるでしょう。
それぞれの要素について、文章でもご説明します。
Politics(政治的要因)
- 現在の法規制
- 現在の税制度
- 現在の政治体制
- 今後の法規制の緩和や強化
- 今後の税制度の変化(増税、減税)
これらにはルール形成力があり、企業は法規制などを逸脱した競争ができません。
これらは企業運営と密接に関わる一方で、コントロールのしようが無い部分でもあります。
かつ、消費者の購買行動にも直接影響を及ぼすものでもあるため、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。
例
- FinTechに関わる銀行法の改正
- 囲い込みの規制や通信料金・端末代金の完全分離を定める改正電気通信事業法
- 教育利用の拡充を進める著作権法の改正
- 消費税増税
特に、規制産業に該当する場合は関連する法制度を入念にチェックしておきましょう。
Economy(経済的要因)
- 為替・株価
- 経済成長率
- 景気や消費の動向
- インフレ・デフレ傾向など、物価変動
これらは、売上やコストなど金銭的な側面から企業活動に影響を与える要素です。
また、海外との取引が多い企業・部署の場合は為替についても常に気を配る必要があるでしょう。
Society(社会的要因)
- 人口動態
- 教育レベル
- ライフスタイル
- 流行
- 宗教
- 世論
これらは顧客の購買行動・需要構造に直接影響を与える要素です。
日本国内において宗教や教育レベルが大きく異なることはあまり有りませんが、国外にも目を向けた場合には重要な要素となります。
たとえば、流行は昔から消費行動に直接的な影響を与えてきた要素であり、マーケティングを考える上で外すことができない要素です。
他にも、人口ピラミッドから少子化・高齢化の傾向を掴むことで、シルバービジネスなどの需要を窺い知ることができます。
更に、「過去どのようなライフスタイルが席巻し、何が流行ったのか」ということを知ることで、当該地域のトレンドが今後どのように推移していきそうか、ということを考える素材になりえます。
Technology(技術的要因)
- インフラ整備
- 技術開発への投資
- 特許
- 技術革新
これらは、市場競争における成功要因(KSF)を変えてしまう要素です。
対象地域でどの程度のインフラが整備されているのか、どのような新技術が開発されているか、といったことを考えます。
例えば、少し前まで買い切り販売が主流であったコンピュータプログラムが、今やクラウドなどサブスクリプション・従量課金制に移行している、といったことも1要素として考えられます。
自由競争社会においては技術力が物を言うこともしばしばですから、絶対に抑えておきたいポイントですね!
PEST分析の使い方
1. 目的を定める
「何をするために、何を知りたいのか」?
ここが定まっていなければ、必要十分な情報を収集し整理することはできません。
PEST分析を意味あるものにするためにも、必ず最初に目的を定めましょう。
2. 情報を集める
目的を定めたら、その目的と関連する情報を収集します。
情報を集める際には、次のようなことに気をつけると良いでしょう。
- 肯定的・否定的な情報のいずれかに偏らないようにする
- 主観が多分に含まれる情報を取り除く
- 公的、もしくは信頼性の高い情報源から情報を収集する
3. 機会と脅威に分ける
分離用テンプレート
収集した各要素が、企業にとって良い側面に働きそうか、それとも悪い側面に働きそうかという点で分類しましょう。
客観性が高い情報を集めたあとで、改めて主観的な情報に変換することで、PEST分析の効果を最大化することができます。
というのも、物事は常に表裏一体であり、「ある人にとってリスクであることは、ある人にとってはチャンスである」からです。
自分にとって、それぞれの出来事や制度がチャンスなのか、はたまたリスクであるのか整理することで、機会を有効活用したり、脅威に対処することが可能になります。
4. 他の分析と組み合わせる
PEST分析で収集・整理した情報を、そのままSWOT分析に当てはめましょう。
実現可能性・収益可能性の高い企画を考えるためには、周辺環境・内部環境を両方考慮することが必須です。
そのためにも、PEST分析で発見した要素をSWOT分析の「Opportunity(機会)」「Threats(脅威)」に当てはめ、内部環境とのクロス分析に活用するのがオススメです!
関連記事【就活】SWOT分析とは?SWOT分析を使って議論の質を底上げしよう読む
就活での使いドキ
PEST分析の概説と、具体的な使用例をここまでご紹介しました。
この節では、「就職活動において、いつPEST分析を活用するのか?」ということをご説明します!
インターンシップ
インターンシップでは何らかの企画立案をやらされるパターンが非常に多いです。
その際に、その企業が置かれている状況を俯瞰的に見つめるためPEST分析を活用すると、一気に現実的なアイディアを出せるようになります。
企画を発表する際には、結論に至るまでの過程を聞き手が理解できるよう「ストーリー」立ててプレゼンすることが非常に重要です。
一例として、QCストーリーという手段に沿ってストーリー立てを考える方法を以下の記事でご紹介しています。
関連記事インターンシップで優遇されたいなら「プレゼン資料」で差をつけろ!「ストーリー立て」編読む
企業研究
企業研究を行う際にビジネスフレームワークを使うと、型にはめて企業の将来性や競争優位性を考えることができるため、時間節約に繋がります。
競合他社との比較は3C分析、企業の将来性や今後の戦略を分析する際にはPEST分析とSWOT分析を組み合わせるなど、用途によって使い分けると良いでしょう。
関連記事【ビジネスフレームワーク】3C分析とは?就職活動に活かす2つのメリットを解説!読む
面接対策
もう一つ、就職活動における面接では、必ずと言ってよいほど「入社してから何がやりたいのか?」ということを質問されます。
その回答として無根拠な夢物語を語るのも若々しくて良いですが、市場分析を行った上で発言する「やりたい仕事」には一気に説得性が備わります。
PEST分析・SWOT分析を用いることで、「今、業界がどのような状況に覆われているか」、「今後どのように推移していくと予想されるか」ということをPEST分析を使ってカバーした上で、「あなたの持ち味や企業の強みを活かしてどのように貢献したいか」説明できるようになります。
上辺だけの企業研究ではなく、「客観的証拠」と「あなたなりの分析」に基づいた発言はあなたのパーソナリティをも内包しているため、きっと面接官にも響くことでしょう。
志望企業が何十もあると一社一社丁寧に分析する時間が確保できないため、インターンシップなどに参加して早々に受験企業を絞ることをおすすめします。
具体的に何社エントリーすべきか等を解説した記事をすでに公開していますので、詳細は以下の記事を御覧ください。
関連記事ES提出20社が普通?ESを出しすぎなのは自己分析が出来ていないからではないか読む
選考対策
グループディスカッションやペーパーテストなど、お題によってはマクロ分析を要することがあります。
たとえば「大阪ガス」のインターンシップ選考ではペーパーテストが出題されますが、いずれも3C、SWOT、PEST分析を用いることで対応することができます。
他にも、「NRI」などコンサル系企業のグループディスカッションでは、お題が仮想事例の模擬コンサルティングの形式を取ることが多いです。
その際、PEST分析やSWOT分析を用いることで、それなりのアイディアを出すことができるでしょう。
おわりに
本日は、ビジネスフレームワークのなかでも基礎的な部類に入る「PEST分析」についてご紹介しました。
PEST分析は単体ではなく、他の分析と組み合わせることではじめてベストパフォーマンスを発揮します。
SWOT分析やファイブフォース分析などと組み合わせ、マクロな分析を志望企業に落とし込むことをオススメします!
これらのフレームワークは就活のみならず、その後のビジネスマン人生でも思考の基礎になるなど、一過性の知識ではありません。
企業研究やインターンシップでの実践を通じてマスターしておきましょう!
関連記事
グループディスカッションやインターンシップで優秀だと評価を受けるためのテクニックを、本サイトでは公開しています。
併せてご覧いただくことをお勧めします。
関連記事インターンシップを内定に直結させるためのテクニック読む