【22卒】日立造船の企業研究・選考対策 | 造船老舗からクリーンエネルギーのパイオニアへ

この記事について

クリーンエネルギー分野でトップランナーとして存在感を放つ日立造船。本記事では、日立造船への就職を目指す就活生向けに、日立造船の選考対策に役立つ企業研究情報や面接対策に使えるネタをご紹介します。

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目次

企業情報

概要

皆さんは「造船」と聞いて何を思い浮かべますか。
その名の通り船を作る仕事、中韓にシェアを奪われてジリ貧、JMUや今治造船…、思い浮かべるものは人それぞれでしょう。

今回紹介する日立造船株式会社は、社名に「造船」の名を冠してはいるものの、今や完全に造船から撤退し、ごみ処理発電や洋上風力発電などクリーンエネルギーのパイオニアとして世界的に名を馳せる企業です。
国家プロジェクトとして2050年までに炭素排出量ゼロを目指すと宣言された今、日立造船に対する世間の注目度は飛躍的に上昇しています。

なお、社名に「日立」と付いていますが、日立製作所や鮎川財閥関連企業との関係は完全に解消されており資本関係もありません。これほど名が体を表さない企業も珍しいですね。

そんな日立造船について、本日は就活生が知っておくべき企業研究情報や、選考対策に役立つ情報をお届けします!

企業情報

社名日立造船株式会社
創業1934年5月29日
資本金454億42百万円
売上高(連結)4024億50百万円
純利益(連結)21億97百万円
従業員数(連結)10654名

(2020年3月1日時点。公式サイトによる)

企業研究

クリーンエネルギー関連の事業が主軸

日立造船の主力事業はゴミ焼却発電などのエネルギー関連事業となっています(後述するように売上の6割以上は環境プラント事業やインフラ事業による)。
特に注目すべきはゴミ焼却発電と洋上風力発電と思われますので、これらについて詳しく見ていきましょう。

ごみ焼却発電

日立造船は、世界各地でゴミ焼却発電施設の設計・開発・保守運用を行っています。
もともとスイスのAE&E Inova AGからライセンス供与を受けてアジア地域で事業を営んでいましたが、2010年にInova社を子会社化し、全世界でトップのゴミ処理発電事業者となっています。

その名の通りゴミを燃やして発電するわけですから、石油石炭LNGのような化石燃料を消費する必要が無い点でクリーンですし、EUなどではゴミの埋め立て規制も進んでいますから、時勢に適合した発電方法ということで昨今非常に注目されています。

2020年12月には伊藤忠と共同でドバイにおける1200億円規模のプロジェクトを受注する(ニュース)など、欧州以外の地域においても受注量を増やしています。
また、注目すべきは運用保守まで一貫して携わる点でしょう。例えば上記ドバイのプロジェクトにおいては35年間の運用権を獲得しており、ストック的に収益を上げられるのみならず、運用にかかるノウハウも自社が独占することができます。

世界人口が増加するにつれ発生するゴミの量も指数関数的に増加することが予想されますから、ゴミを有用に処分することができるゴミ焼却発電は今後まず間違いなく伸び続ける事業でしょう。

洋上風力発電

日立造船は、「浮体式洋上風力発電」という方式に強みを持っています。
そもそも洋上風力発電には、海底までパイルを打ち込む「着床式」と、基礎ごと海に浮かべてしまう「浮体式」の2種類が存在します。

上の動画が非常に分かりやすいのですが、工法上、着床式は水深が浅い場所に特化しています。
これに対し浮体式洋上風力発電は設置場所を選ばないというメリットが有り、洋上風力発電の設置可能エリアを飛躍的に拡大させるゲームチェンジャーとして期待されています。

また、日立造船は着床式洋上風力発電にも強みを持っており、コストおよび工期の面で従来型に勝るサクションバケット方式に秀でています。
設置箇所や開発予算・工期によって柔軟な選択肢を提供できることこそ、日立造船の一番の強みでしょう。

地方自治体への納入実績が多い

画像:Het大阪建築 – Hiromitsu Morimoto

日立造船は日本国や地方自治体へのゴミ処理施設などの各種設備の納入実績が非常に多いことが特徴です。

例えば上の画像に示した、フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーがデザインしたことで有名な大阪市環境局舞洲工場も日立造船によるものです。

NJSSという官公庁による入札案件に関する情報を掲載しているサイトで「日立造船」と検索していただければ、日立造船がいかに官公庁案件を多く受注しているかが一目瞭然です。

海水淡水化や全固体電池など技術開発にも強み

日本は水道水を飲むことができるほど水資源に恵まれた国ですが、世界はあな広し、真水に困窮した地域があることも事実です。
日立造船は海水淡水化プラントの製造に強みを持っており、主に中東において多数の納入実績を有しています。
これについては公式サイトが詳しいので、一度見ておきましょう。

また、全固体電池も日立造船の技術力が優れていることを証明しています。
全固体電池はリチウムイオン電池に変わる新電池として注目されている技術であり、エネルギー密度の向上や急速充電、電池の長寿命化などのメリットを有すると言われています。
一方で生産に係るコストパフォーマンスの悪さや大容量化の困難さなどにより、未だ開発途上の技術であることも事実です。
国内企業ではパナソニックなどが主となって開発していますが、日立造船は世界最大級の容量を誇る全固体電池の開発に成功しています。
自動車のEVシフトや脱炭素化などESG投資が叫ばれる昨今、全固体電池の開発で世界をリードしていることが今後同社の武器になることは一目瞭然でしょう(実際、上記ニュースが出た翌日には日立造船の株価はストップ高[=値幅制限いっぱいまで上昇すること]を記録しています)。

造船業からの転身、魅力的な事業開発力

造船業はジュグラーの波のように10年単位で好況・不況が繰り返し訪れる業界です(造船業界の業績は船舶需要=設備投資に連動するため、これは当然ですね)。
かつての日立造船も例にもれず業績が安定しない企業でしたが、事業継続の安定性を高めるために様々な事業を開発してきた歴史があります。
代表的なところで言えば、「旅の窓口」、「杜仲茶」が挙げられるでしょう。

旅の窓口とは、1996年に日立造船情報システムが設立したホテル予約サイトです。
バブルが崩壊して間もないインターネット黎明期から、Webとオフラインを繋げるサービスをIT企業でも何でもない造船会社が手掛けていた、という点からも特異性がよく分かる事例かと思います。
旅の窓口は最終的に楽天に323億円で買収され、現在でも楽天トラベルとして日本中で活用されている一大サービスとなっています。(当時のニュース記事)

杜仲茶もまた、日立造船が手掛けた造船とは全く関係ない事業の1つです。
食品と縁もゆかりも無い造船会社が杜仲茶ブームを巻き起こし、100億円を稼ぐ事業に成長させたのですから、驚くばかりですよね。杜仲茶事業についてはHitz協働研究所のこちらのページが詳しく、また日立造船のユニークさがよく分かり非常に面白いので是非読んでみてください。

このように、好不況が激しい造船業にルーツを置くからこそ果敢な事業開発に挑むマインドが社全体に浸透しており、クリーンエネルギーで世界から注目される今の姿があるとも言えるでしょう。

関連会社で造船事業も継続

日立造船本体はすでに造船業から完全撤退していますが、関連会社の「内海造船」で造船事業も継続しています。
内海造船は多種多様な船舶の製造に長けており、とくにコンテナ船やフェリーといった船種が得意分野にあります。

2007年前後の造船バブル崩壊以降、国内造船会社は中国・韓国に遅れを取っており、非常に厳しい事業環境に置かれています。例えば、第一中央汽船の破綻は記憶に新しいでしょう。
それに関わらず、内海造船は小幅ながら黒字利益を毎年計上しており、安定した事業経営が実現できています。
あくまで持分法適用会社ですから日立造船に就職を考える上ではあまり気にしなくてもよいことですが、日立造船の祖業を受け継ぐ企業もあるんだ、ということくらいは頭に入れておきましょう。

内海造船もまた上場企業ですので、詳しく知りたい人は7018内海造船で決算情報などを確認してみても面白いでしょう。

業績推移

売上高・営業利益・営業利益率

まずは基本的なところから見ていきましょう。
過去5年間、日立造船の売上高、営業利益および営業利益率の推移は上図のようになっています。

売上高および営業利益はほぼ横ばいで非常に安定しており、2018年、2019年には多少の落ち込みが見られたものの、例年売上高3900億円、営業利益は5900億円~150億円で推移しています。

営業利益率は約3%前後であり、メーカー平均の4%と比較すると多少低い数値となってはいますが、飛び抜けて低いということもなく安定的です。

このように業績が安定的である理由は、主に「ゴミ焼却発電施設の安定的な受注」「ゴミ焼却発電施設の竣工後のアフターサービス(運用や保守、改修等)による積み上げ型の収益構造の存在」が大きいでしょう。
日立造船が手掛ける環境プラント設備やインフラ事業は「作って終わり」ではないため、この安定業績は創業から100年に渡り築き上げてきた信頼関係の賜物と言えそうです。

セグメント別売上高推移

セグメント別に見た売上高の推移は上の図のようになっています。
なお、各セグメントが内包する事業領域は次のようになっています。

  • 環境・プラント:ごみ焼却発電・リサイクル施設、水・汚泥処理施設、エネルギーシステム(発電設備)、バイオマス利用システム、海水淡水化プラント等各種プラント、電力卸売
  • 機械:舶用原動機、舶用甲板機械、自動車用プレス機械、ボイラ、脱硝触媒、圧力容器等各種プロセス機器、原子力関連設備機器、プラスチック機械、食品機械、医薬機械、精密機器、エレクトロニクス・制御システム
  • インフラ:橋梁、水門扉、煙突、海洋土木、シールド掘進機、防災システム、風力発電
  • その他:運輸・倉庫・港湾荷役

手掛けている事業内容の多さにも驚愕ですが、いずれの事業に売上が集中することもなく、手堅くリスク分散ができている印象を受けます。

なお、利益額で見ると機械やインフラセグメントは時々損失を計上していますが、黒字になった際の振れ幅も大きいことが特徴です。
手堅くキャッシュを生み出し続ける環境・プラントセグメントと、当たれば大きい機械・インフラセグメントのバランスが取れていると分析できるでしょう。

選考対策

志望動機・面接対策

志望動機は中期経営計画から逆算して立てると、「その会社が目指すポイント」と「そこに到達するために活かせるあなた自身の強み」をマッチさせることが容易であり、オススメです。
方法論についての詳細は以下の記事に記載してありますので、読むことをオススメします。

関連記事関連記事「志望動機」は中長期経営計画から逆算しよう読む

経営戦略

中期経営計画では、「サステナブルな社会を実現する」という長期ビジョンを実現するための取り組みが策定されています。
そのサステナブルな社会というのが、

  • クリーンなエネルギーに対する取り組み
  • クリーンな水、環境保全、災害に強く豊かなまちづくり
  • Hitzグループ目標CO2削減への貢献

の3つに代表されています。

中期経営計画から会社が目指す理想像を読み解き、自身の経験と結びつけた志望動機に落とし込むと「経営戦略上、企業が求める人材」と「自分が提供できる付加価値」を両立できるのでオススメです。

詳細は以下のリンクから中期経営計画資料をご確認ください。

・参考:日立造船の中期経営計画「Forward 22」

Webテスト

日立造船のWebテストは、SPIとなっています。

SPIは時間勝負の試験ですから、数をこなして条件反射的に問題を解けるようにすることが通過への近道です。
逆に言えば、対策さえすれば誰でも通過できるのがWebテストですから、対策を疎かにして足切られてしまうのは余りにも勿体ないことです。

本を買って勉強するのも良いですが、当サイトでは完全無料でSPIの練習問題を多数公開しています。
下記リンクからジャンル別に問題を解くことができますので、ぜひご利用ください。

SPIの練習問題一覧

企業研究をより深める

当サイトの企業研究記事は、主に企業が発行する決算短信や有価証券報告書、業界専門紙、信用調査会社のレポートなど信用できる情報源を基に分析・公開しています。
しかし、決算短信や有価証券報告書などに記載されている内容をすべてまとめているわけではありません。
ご自身でこれらの資料を読む力をつけておくことで、より深い企業研究が実現するかと思います。
決算資料の読み方は下記記事にてまとめていますから、ぜひこちらを参考にご自身なりの企業研究方法を確立してみてくださいね!

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インターンシップ

日立造船では、文系・理系ともにインターンシップを開催しています。
インターンシップへの参加を通して企業研究を深めることができるほか、選考での優遇を得たり、自分がやりたい仕事かどうかの見極めができるかと思います。

せっかく参加するのであれば、インターンシップを無意味に終わらせないよう、テクニックの引き出しを増やしてから臨むことをオススメします!
以下、画像をクリックすることで当該テクニックを確認できます。

「相手に伝える」:発表をストーリー立てる方法

プレゼン発表においては、いかに優れたアイディアを出そうとも、相手に伝えられなければなんの意味もありません。
この記事では、プレゼンを作成する上で、相手方に「何故そのアイディアを出したのか」「どのような効果が期待できるのか」といったことを順序立てて説明することについてご紹介しています。

「見た目勝負」:見づらいプレゼンは、そもそも興味を引けない

いかに優れたアイディアを出そうとも、小さな字で書かれた汚い発表資料では、理解しようとする意欲すら失せてしまうものです。
本記事では、「先ずは興味を持ってもらうために、最低限プレゼン資料作成で気をつけなければならないポイント」をまとめてご紹介しています。

他にも多数あります

上記のようなテクニックを、他にもたくさん公開しています。
インターンシップに限らず、選考過程のグループディスカッションなどでも活用できるテクニックがありますので、是非チェックしてみてください。
全てのテクニックへのリンクは下記記事にまとめています。

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