【22卒】ローム(ROHM)の選考対策・企業研究

この記事について

京都市に本社を置くローム株式会社の企業研究・選考対策情報です。今後ロームの強みになるであろうSiCパワーデバイスをはじめとする企業研究、競合他社との比較、インターンシップの優遇情報、本選考の面接で聞かれる内容から年収まで、就活生が知りたい情報をすべて掲載しています。

SNSでシェアしよう!

目次

企業情報

概要

画像引用:ROHM

ローム(ROHM)は、京都市に本社を置く半導体メーカーです。
カスタムLSIと、その部品であるトランジスタ、ダイオード、LSI、抵抗器などの電子部品を手掛けています。
京都に本社を置く半導体・電子部品メーカーといえば、村田製作所や京セラ、日本電産が思い浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。
ロームもまた京都に根を張る世界的な半導体メーカーであり、特に自動車やFAなどの分野で強みを持っています。
社名は、創業時の生産品であった抵抗器(Resistor)の頭文字と、抵抗値の単位であるオーム(Ω,Ohm)を組み合わせたという、ある意味非常に分かりやすいものになっています。

基本情報

社名ローム株式会社
創業1958年9月17日
資本金869億69百万円
売上高(連結)3628億85百万円
純利益(連結)256億32百万円
従業員数(連結)22191名(単体)3166名

(2019年12月31日時点)

事業紹介

ローム製品の用途

ロームは電子部品メーカーであると冒頭で述べましたが、ローム製品は非常に幅広い分野で用いられています。
代表的なところで言えば、次のような場面で用いられています。

  • 産業機器:FA、医療、計測機器など
  • 自動車産業:自動運転システム、xEV、電動パワーステアリングなど
  • 家庭用品:オーディオ機器やエアコン、冷蔵庫、ドローンなど
  • PC・通信分野:ノートPC、スマートフォン、ウェアラブルデバイスなど

画像引用:ROHM

例えばスマートフォンやタブレット機器では、ローム製品は上記画像の青色部分をカバーしています。
すべての商品はとても紹介しきれませんので、興味のある分野についてホームページで確認しておくことをオススメします。
今回の記事では、ロームの製品のなかでも今後特に「強み」となるような注力製品について解説します。

注力市場① パワーデバイス

画像引用:NEDO

ロームが製造する商品の一つで、現在注目されているものが炭化ケイ素(SiC)から作られるSiCパワー半導体です。
SiCから作られる電子部品は電力損失を低減でき、車の走行距離が伸びるなどのメリットが有ります。
そのため、自動車やFA業界を中心に注目が集まっています。
ロームは、2012年に世界初のSiCパワーモジュール量産化を行うなど、SiC分野で他社より一歩抜きん出ています。
現在、SiCパワー半導体市場における世界トップシェアは米・Wolfspeed社(独Infineon傘下)ですが、ロームはそれに次ぎ世界2位のシェアを誇ります。
2025年3月期までに600億円を投資し生産能力を16倍にまで高める計画が立てられており、SiCパワー半導体分野で世界首位を実現するべく尽力しています。
地球温暖化への関心増などを背景に世界中で省電力化・高効率化を重視する機運が高まっており、パワー半導体市場はコンスタントに成長を続けています。
ロームはSiCパワーデバイスの第一人者である松波名誉教授(京都大)の研究室に研究員を派遣するなど産学連携での研究も行っており、今後が期待できます。

SiCパワー半導体の今後

SiCパワー半導体は、特に鉄道や自動車などの輸送機器業界で注目されており、例えば、JR東海が新規に開発した新幹線用車両「N700S」にも用いられています。
しかし、完全にSiからSiCパワーへの移行が順調に進んでいるかといえば、そうではありません。
トヨタ自動車はかつてSiCパワー素子を搭載したハイブリッド車を開発し、公道実験まで実施するなど、SiCの活用に積極的な姿勢を見せていました。しかし、2019年にはSiCの採用は見送られ、代わりにIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を採用した車両を発売しました。
2020年2月発売のトヨタ・ヤリスに次ぎ、同月発売のホンダ・フィットでもIGBT搭載量産車が発売されています。
SiCのコスト・安定供給面での問題が理由であり、妥協点としてのIGBT採用であるとされています(*1)。
もっとも、ロームはIGBTも得意分野としており、どう転んでも特に問題は無さそうです。
*1:トヨタとホンダが続々採用、新パワー素子は本命SiCへの”つなぎ” – 日経XTECH(2020年4月3日)

競合企業

「三菱電機」
ロームと同じくSiCパワー半導体を取り扱っている企業として、三菱電機が挙げられます。
三菱電機は、東京大学との共同研究でSiCパワー半導体の抵抗要因に影響を与える要因を世界で初めて解明するなど、研究開発にも意欲的です。
2社はともに車載パワーデバイス市場を狙っており、対Si・IGBTデバイスのみならずSiCデバイス内での競争も求められるでしょう。
その他競合他社には、「昭和電工」「富士電機」「東芝」などが挙げられます。

注力市場② アナログ技術

ロームは従来よりアナログ技術を得意分野としており、「アナログパワー」のキャッチフレーズのもと事業を展開してきました。
アナログ技術とは、マイクロコンピュータを使用せず、ダイオード・トランジスタ・ICなどのアナログ回路のみを用いて電気量などを制御するものです。
同社では主に自動車関連市場や産業機器関連市場向けに高機能電源IC、モータードライバ、LEDドライバICなどを供給しています。
特に電源IC分野では2010年よりIntelとの協業によりCPU向け電源ICを開発しており、Intel AtomのApollo Lakeシリーズなどで同社製品が活用されています。

競合企業

「トレックス・セミコンダクター」
トレックスは1995年創業・東証一部上場の電源ICメーカーです。
ロームが製品の開発から製造まで一気通貫して行うのに対し、トレックスはファブレス(工場を持たない)形態を取っている、という違いがあります。
ファブレスメーカーといえばキーエンスが想起されるように、設備投資を最小限に抑えられるなどのメリットがあります。
一方で、製造ノウハウが蓄積できないなど短所もあり、どちらが優れているとは一概に言えません。
ロームは自社生産方式で生産管理を徹底してきたことにより高品質・高信頼性を維持しており、それが強みにもなっています。
(後述しますが、ロームは垂直統合から協業へと方針転換を迎えており、今後これを強みと言い続けられるかは疑問です)

研究開発に力を入れ続けてきた実績


理系で研究職を目指している方は、志望企業がどれほど研究開発に費用を投じてきたか、という点に注目しているでしょう。
ロームは比較的研究開発に力を注いでいる企業であり、売上高に占める研究開発費用比率の推移は10%前後で推移しています。

研究開発費用比率の企業間比較をすると、トヨタ自動車の1兆556億円が日本で1位となり、ロームの400億円弱の投資が少なく見えるかもしれません。
しかし、売上高比率で見ればトヨタ自動車は3.72%であり、一方のロームは11.58%に上ります。
他企業に比べ、ロームは少ない売上ながらも研究開発に多額の費用を投じており、技術開発を大切にしている会社ということが伺えます。

海外展開


ロームの海外売上比率がどのようになっているか、同業他社と海外売上比率を比較しました(ソシオネクストなど非上場企業を除く)。
今回比較対象としたのは、電子部品メーカートップである村田製作所・日本電産、同じく京都に本社を置く京セラ・オムロン、半導体メーカーであるルネサスエレクトロニクスの5社です。
ロームの直近の海外売上比率は65.8%であり、同業であるルネサスエレクトロニクスの63.5%とほぼ同格でした。
ロームはカスタムLSIにおいて国内で根強い人気があったため、それが影響しているものと思われます。
しかし、カスタム製品が売上に占める割合は年々減少しており、今後海外比率が高まっていくものと予想されます。
特にルネサスエレクトロニクスは車載向け半導体ソリューションで競合する点も多い企業ですから、ロームを志望する上ではこちらについてもある程度は理解を深める必要があるものと思われます。
当サイトではすでにルネサスエレクトロニクスについての記事も公開しておりますので、こちらを参考に競合企業についても理解を深めていきましょう!
関連記事関連記事ルネサスエレクトロニクスの企業研究・選考対策 | 車載向け半導体で自動車産業を支える読む

企業方針・求める人物像

現在

ロームは、革新的な製品開発と質の高いモノづくりを通して、「永続的かつ総合的な企業価値の想像と向上」および「お客様満足度の向上・社会への貢献」を実現しています。
基本方針として、世界市場をリードする製品開発、独自の生産技術を駆使したコスト競争力のある高品質な製品を永続かつ大量に供給し、世界の半導体・電子部品市場のリーダーシップをとっていくことを基本方針としています。
そして、そのための注力市場が、先に見た自動車・産業機器関連市場におけるパワーデバイスやアナログ技術です。
(参考:第61期有価証券報告書)

今後

ロームは2021年度からの五か年計画を現在策定中のようです。
策定に当たっての社長インタビューがありますので、是非読んでおくことをおすすめします。
垂直統合から協業へ舵を切るローム、「5年もすればSiCはコモディティー化する」
これによれば、ロームはかつてカスタムLSIなどで売上を伸ばしてきましたが、その方針を転換することが読み取れます。

ロームに向いている学生

まず第一にロームの事業範囲と重複する研究を行っている学生は非常に重宝されます。
後でも述べますが、面接段階で非常に研究内容についての質問が多く、研究内容とのマッチングが重視されているからです。
また、先にも述べたようにロームは高付加価値な製品開発を重要視していることも理由です。
より一般的な求める人材としては、「知的好奇心を持って取り組める」「途中で折れない胆力がある」「目標実現のために周囲を巻き込める」「本質を見抜いた計画設定ができる」などの能力を持った学生が歓迎されます。
たとえば「研究を選んだ理由」ひとつ取っても、使命感を感じさせるような積極的な理由を自分なりに考え、面接で語れるようにしておくと良いでしょう。

本サイトでは中期経営計画から志望動機を考えることをオススメしています!
具体的な方法については、上の画像をクリック!

将来性

ロームは今後モジュール製品分野などの強化を表明しています。
同社は従来、創業者である故・佐藤研一郎氏によるトップダウン経営が続いていました。
かつては営業利益率30%超えを誇ったロームは、時代に適応した方針に転換し切れておらず、営業利益率・売上高ともに低迷が続いていました。
しかし、社長が交代した2010年代から社内改革が進んでおり、新規案件の受注件数が増加するなど転換点を迎えています。
先に述べた「企業方針」はその延長線上に位置しており、これが成功すれば5G向け製品の拡充・モジュール製品の強化などが期待されます
半導体市場は国際競争が非常に激しく、台湾や韓国などのメーカーともスペックのみならず、コスト面でも厳しい戦いが強いられます。
現状、ロームは連結売上高の10%を研究開発に投じるなど製品開発に多大なコストを投じています。
しかし、開発した製品を市場に投入する機会を逸したり、開発コストに見合う売上を見込めないリスクが存在します。
エレクトロニクス分野における技術発展は目覚ましいものがあり、特に将来が予測しづらい業界でもあります。
そのため、SiCデバイスなど成長分野で強みを有するものの、将来性は暗くは無いが、大手を振って明るいとも言い切れない状況にあると言えます。
かつてのルネサスエレクトロニクスのように、経営陣の舵取り一つでどうなるか分かりません。

就職情報

採用人数

  • 技術職(理系):90名予定
  • 営業職(文系):60名予定

年間140~170名採用しており、3年以内定着率は82.8%から98.8%とまずまずの数字です。
また、採用大学についても地方大学から旧帝国大学まで幅広く、特に学歴による制限を設けているようには感じさせません。
本場京都では「ロームは顔採用」と言う噂で有名ですが、エリア限定職種のみであると推測されます。

インターンシップ優遇

優遇あり
ロームでは、理系向けに約2週間のインターンシップを実施しています。
実務体験型のインターンシップであり、実際の業務を体験することにより企業理解をモノにすることが可能です。
面接で語れることの幅が非参加者に比べ圧倒的に増えるほか、早期選考にも参加することができます。
インターンシップへの参加にはES提出、適性検査受験、面接1回の3ステップを要します。
少々面倒ですが、本選考とほぼ同じ選考フローを取っていますから、面接練習にもなり一石二鳥です。
少しでもロームに興味があるならば、ぜひ参加しておくことをオススメします!
関連記事関連記事インターンシップを内定に直結させるためのテクニック読む

選考情報

(下記は主に技術職)
ES・適性検査→一次選考→二次選考→最終面接

ES・適性検査

ES記載内容:

  • 研究内容
  • 志望動機
  • 職種志望理由

明確に差別化できる要素は研究内容のみであるため、ロームの事業内容と研究内容のマッチングを重視すると良いでしょう。
適性検査:
企業オフィスでの適性検査受験で、SPIが出題されます。
問題は言語・非言語・性格検査です。
一定点数以上取れば合格であり、相対評価ではなく絶対評価です。

一次選考

筆記試験と同日の選考実施であり、5分から10分程度の対面面接です。
面接担当は若手人事で、主に次のようなことが訊かれます。

  • 就職活動の進行状況
  • 研究内容
  • 志望動機
  • 希望職種を選択した理由
  • 逆質問

非常にオーソドックスな質問であり、特にひねった質問はありません。
また、鋭い逆質問を一次面接で使うのは勿体ないので、二次面接や最終面接以降のためにセーブしておくことをおすすめします。
関連記事関連記事これさえ聞いておけば間違いない!一次面接で使える鉄板の逆質問集読む

二次選考

人事系管理職と技術系管理職の2名と学生1名の対面面接であり、約30分かけて行われます。

  • 自己PR
  • 研究内容の深堀り(メイン)
  • 学業以外で頑張ったこと

研究内容の深堀りが主であり、自分の研究内容について明確に語れるようにしておくことが求められます。

最終面接

複数の人事系管理職と技術系管理職、合計3名と学生1名の対面面接であり、約30分かけて行われます。

  • 研究内容の説明と深堀り
  • その研究を選んだ理由
  • 志望動機
  • 就職活動の軸
  • ロームの志望度、他社の選考状況
  • 入社後どのような仕事をしたいか

最終面接に限らず、ロームでは非常に志望度を重視しています。
理由まで含めて第一志望である理由を明確に語れなければ、選考通過は難しいでしょう。
また、一次面接から最終面接にかけて志望動機や研究内容など似たようなことを質問されますから、一貫した回答を心がけると良いでしょう。

年収など

  • 従業員数:3166人
  • 平均年齢:39.9歳
  • 平均勤続年数:14.5年
  • 平均年間給与:725.2万円

第61期有価証券報告書より抜粋。
セグメント別従業員数は記載省略
関連記事関連記事就活生は有価証券報告書を読むと幸せになれる読む