【22卒】ノーリツ(NORITZ)の企業研究・選考対策

この記事について

大手ガス機器メーカーの「ノーリツ」について、事業展望・競合他社・業績推移・面接で聞かれる内容・求められる人物像など、就職活動をする上で欠かせない知識をまとめました。リンナイやパロマなど同業他社を志望している人も必見。

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目次

企業情報

概要

画像引用:神戸新聞

リンナイは兵庫県神戸市に本社を置くガス機器メーカーです。
ビルトインコンロ、給湯器など家庭に欠かせない熱機器を筆頭に製造しており、「太陽熱温水器」など環境配慮型の製品も手掛けています。
熱機器メーカー2大巨頭である「パロマ」「リンナイ」に比べて創業年月で30年以上遅れを取っているにも関わらず同等の事業規模を誇り、同業界において存在感を放つ企業の一つです。

基本情報

社名株式会社ノーリツ
創業1951年3月10日
資本金201億6700万円
売上高(連結)2083億9600万円
純利益(連結)15億1200万円
従業員数(連結)8489名(単体)2733名

(2019年12月期)

事業概要

主な商品


ノーリツは主に下記のような製品を販売しています。

  • 給湯器(ハイブリッド、ガス、石油)
  • キッチン機器
  • 温水暖房機
  • 太陽エネルギーシステム(太陽熱温水器)

ノーリツにおいては給湯器が主力製品であり、非常に多数の製品ラインナップを取り揃えています。
またガス機器一辺倒ではなく、ハイブリッド型給湯器や太陽熱温水器など多様なニーズに合致する製品開発をしています。
とはいえ、これらの製品の普及率は高いとは言えず、今後の営業力が試されるところでしょう。

国内ガス機器市場でトップシェア

給湯器をはじめとする国内のエネルギー機器市場において、ノーリツはリンナイと並び40%ほどのシェアを獲得しています。
また、安全上の観点から、これらの機器は10年ほどで買い替えが発生する市場であるため、安定的に商品を売り上げることが可能です。
そのため、国内市場においては継続的に商品を売ることができる体制が出来上がっていると言えるでしょう。
とはいえ、当然ながら競争が発生している市場であるため、商品開発力および商品価格による競争力強化が必須となります。
これに関して、後述の「研究開発活動」項目において研究開発費の観点からノーリツの将来性について分析します。
また、元大阪ガスグループであり、業界準大手のハーマンを2003年に完全子会社化しています。
ハーマンは主にガスコンロを製造しており、ノーリツもまたガスコンロを製造しているため、グループ内シナジーが期待できるのでは無いでしょうか。

住設システムからの撤退

ノーリツは2020年、システムバスやシステムキッチンなどに代表される住設システム分野からの撤退を発表しました。
同時に600名の希望退職者を募集し、789名の応募があったとのことです。
退職者枠を上回る応募が有るということは、それだけ会社の将来性を憂う方が多かったということでしょう。
最大手であるリンナイとは売上高のみならず営業利益率でも大きく差を付けられており、今後一層の収益構造の改善が必至かと思われます。
収益推移等については「業績を見る」でご紹介します。

競合他社

対ガス機器メーカー

ノーリツの主な競合企業として、「パロマ」「リンナイ」が挙げられます。
リンナイは、ノーリツと共に国内シェアを席巻する企業です。
ノーリツ・リンナイはそれぞれ国内ガス給湯器市場で40%ほどのシェアを有しています。
一方、ガスと電気を組み合わせ給湯する「ハイブリッド型」給湯器では、リンナイが8割、ノーリツが2割のシェアを占める結果となっています。
リンナイとの詳細な比較は、「業績推移」の項目でご説明します。
パロマはリンナイに比べ海外売上比率が高いものと推測されます。(非上場企業なので正確なところは分かりません)
パロマの米国における給湯器シェアは50%とも言われており、国内市場は言わずもがな、海外市場でも高い存在感を発揮しています。
一方で、国内売上高はリンナイとノーリツに及ばず20%ほどとなっています。
かつては国内でも一定のシェアを誇っていたのですが、累計20名以上が亡くなったパロマ湯沸器死亡事故による信頼失墜以降、リンナイにシェアを奪われた形となっています。
他にもパーパス、長府製作所などの競合企業が有りますが、これらはノーリツに比べ事業規模が小さいので割愛します。
リンナイは本サイトにて既に個別分析記事を公開しているため、こちらも合わせてお読みいただくことでノーリツの企業研究にも繋がるかと思います。
関連記事関連記事リンナイ(Rinnai)の企業研究・選考対策読む

ガスvs電力の構図

IHコンロや電気給湯器などを製造している「三菱電機」「パナソニック」なども競合企業として挙げられます。
東日本大震災以降、営業活動自粛によりオール電化戸数は前年度比でマイナス推移傾向が継続しており、以前ほどガス会社やガス機器メーカーに対する脅威と言えない状況が続いていました。
しかし、2016年の電力小売自由化を皮切りにオール電化営業が再燃しており、電化率の上昇が予想されます。
富士経済によれば、2015年度に627万戸であったオール電化戸数が2025年度には939万戸まで増加する見込みとされています。
オール電化が国内住宅を席巻する事態はあまり考えられませんが、事業の持続的成長のためにはガス会社等と連携し営業力を強化するか、電気温水器などガスに囚われない商品展開を行う必要があるでしょう。
(*1):オール電化住宅と創エネ住宅の動向

海外

同社は中国市場に注力しており、現地メーカーおよび国内競合他社との競争が予測されます。
例えば、リンナイは中国市場においても400億円ほどの売上を誇っており、国内のみならず海外市場においても強敵と言えそうです。

業績を見る

売上高・経常利益推移


上図は過去5年間についてノーリツとリンナイの売上高および営業利益をグラフ化したものです。
ノーリツの営業利益率は約2%と、メーカー全体で見ても低い水準に留まっています。
一方でリンナイの営業利益率は10%を超え、業界内でも格差が顕著です。
ノーリツは例年リンナイの7割前後の売上高で横ばいに推移していますが、営業利益については非常に差が大きく、直近では10倍もの開きが見られます。
もっとも、直近の営業利益については海外売上の7割を誇っていた中国における減収減益(前年度比86.5%減)が響いているものと思われます。
海外売上が中国に一極集中している現状も、リスク分散の観点からは理想的とは言いがたい状態にあります。
先にも述べたように、近年ノーリツは住設システム分野から撤退を行う等収益力改善を図っており、不採算分野の精算が進んでいます。
今後はガス機器分野の販売拡充・利益体質改善が求められますが、次の「国内・海外売上比率」で述べるように国内市場は飽和状態であるため、やはり海外進出が肝となるでしょう。
とはいえ、熱エネルギー機器は定期的に買い替え需要が発生する商品であり、かつ国内シェアはリンナイとノーリツで二分する形になっているため、しばらくは国内売上による安定収入が見込めるものと推測します。
ノーリツは販売代理店に製品を販売したり、他メーカーにOEM供給を行うことで製品販売高を上げるB2B2C形態を取る企業です。
したがって、ある程度安定した販売高を見込むことができ、やはり一定の安定性は確保されているものと思われます。

国内・海外売上比率


ノーリツの国内・海外売上比率は上記の画像のようになっています。
国内売上比率が例年7割強を占めており、海外比率は2割前後にとどまる結果となっています。
同業他社であるリンナイの場合、同年度の海外売上比率は5割に上っており、海外展開戦略においては競合他社に大きく差を付けられる形となっています。
国内の熱エネルギー機器市場は飽和状態にあるため、同業他社は海外進出に生き残りを掛けています。
ノーリツも海外展開を急務としていますが、海外売上比率は5年間横ばいとなっているため、これを改善するのが喫緊の課題と言えるでしょう。

研究開発活動


 
ノーリツは売上高の3%弱、額にして50億円強を毎年研究開発に充てています。
同業他社のリンナイの場合、研究開発費は例年95億円前後で推移しており、売上高比率は2.8%前後になっています。
そのため、ノーリツの研究開発費用は業界水準に照らし合わせて妥当ラインであると言えるでしょう。
近年では、IoTによる見守り機能を搭載した給湯器を開発しています。
2000年ごろにノーリツ製ジェット噴流バスによる死亡事故が発生したという歴史があり、それゆえに特に安全に注力した製品開発を行っている印象を受けます。

企業方針・将来性

ノーリツは中期経営計画を発表しているため、これをもとに企業方針のうち求職者に関係ある部分を要約すると、

  1. 事業ポートフォリオの再構築(温水空調に注力、住設システムの撤退、製品原価の低減)
  2. 収益力強化(費用削減、シェア拡大)
  3. 海外事業の拡大(北米エリア、中国エリア)

となります。
熱エネルギー機器メーカー業界全体に関しては目先は安泰ですが、国内人口の減少などの現状を鑑みるに、高収益体制の確保および海外展開の拡充が必要不可欠であると言えそうです。
そのため、特に主体性を持って改善をもたらしたエピソードを持つ学生海外経験を持つ学生は、こういった会社の事情に絡めて話せば厚遇を得ることが出来るかと思います。
ノーリツの中期経営計画
関連記事関連記事「志望動機」は中長期経営計画から逆算しよう読む

将来性分析

ここまで再三述べてきたことの繰り返しになりますが、ノーリツが置かれている状況をまとめると次のようになります:

  • 強みを持つ国内市場は、今後人口減少により需要減少が予測される
  • 競合他社は海外展開攻勢により生き残りを図るも、ノーリツは出遅れ感
  • 収益力改善のための施策は進行中

このまま「収益体質の改善」「海外展開の拡充」が達成されなかった場合でも、業績は先細りしても企業自体の存続に問題は無いと思われます。
人口が減少傾向にあるとは言えど、20年や30年で半減するわけではありませんから…。
とはいえ、同業他社のリンナイが傑出した優良企業であること、企業自体の安定性と社員の安定性はイコールではないことを考えると、就職先としては少々不安が残ります。

選考対策

ES

  • 学業で力を入れたこと
  • 強みと弱み
  • 学生時代に頑張ったこと
  • 今までで一番の失敗経験
  • 人生で大切にしていること
  • ノーリツの存在意義と、ノーリツで何を成し遂げたいか
  • 自己PR

ノーリツは3回の面接が実施されますが、いずれも主にESの深堀りが行われる形式ですから、ES段階から力を入れて取り組む必要があります。
また、設問1つ当たりの文字数が少ないため、要点を簡潔に伝える文章作成を心がけましょう。
設問内容に関しては、自社の存在意義を問うてくる設問が印象的です。
国内シェア、熱効率の高さ、商品開発など好きな題材で書きつつ、自分の体験談と将来やりたい仕事に結び付けられると理想的でしょうか。

年収等

  • 従業員数:2733名
  • 平均年齢:43.9歳
  • 平均勤続年数:19.5年
  • 平均年収:631.3万円

セグメント別情報

  • 国内事業:2579名
  • 海外事業:26名
  • 全社:128名

(第70期有価証券報告書より抜粋)
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