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目次
企業情報
概要
志賀原子力発電所(写真引用:日本経済新聞)
北陸電力は富山県富山市に本社を置く、北陸地方一円(新潟県を除く石川・福井・富山の3県)に電力を供給している一般電力事業者です。
電力会社の例に漏れず、地元学生には絶大な就職人気を誇る企業です。
北陸地方の有力企業は数が限られてきますから、他地域よりもその傾向が強いかもしれません。
今回の記事では、北陸電力の選考を受けるにあたって知っておくべき情報や、電力小売自由化を迎えた局面における北陸電力の将来性を主にお伝えします。
基本情報
社名 | 北陸電力株式会社 |
創業 | 1951年5月1日 |
資本金 | 1176.4億円 |
売上高(連結) | 622930百万円 |
純利益(連結) | 13433百万円 |
従業員数 | (連結)8498名(単体)5278名 |
従業員数は2019年3月31日時点、その他データは2020年3月期のものです。
事業概要
事業規模
北陸電力の事業規模は電力会社にしては少なく、大手電力会社10社の中では沖縄電力に次いで少ない売上高となっています。
具体的な売上構成としては上記画像のようになっており、北海道電力・四国電力とほぼ同規模の事業規模を誇っています。
北陸には1つも政令指定都市が無く(新潟市は東北電力管轄)、管轄である北陸3県の総人口は296万人と大阪市単体の人口とほぼ同規模です。
さらに、北陸地方の人口減少は年間0.5%ほどのペースで進行しており、家庭用電力販売は今後も厳しい状況が続くものと推測されます。
一方で、北陸新幹線の開業によりYKKが富山に本社を移転するなど、産業用電力販売については必ずしも軟調とは言い切れない状況です。
電力販売量比率は低圧が半分弱を占める
2020年3月時点における電力販売量比率は上の画像のようになっています。
それぞれが表すところは次のようになっています。
- 特別高圧:7000V超の超高圧・大規模工場やデパートなどが該当
- 高圧:小中規模の工場や中小ビルなどが該当
- 低圧:一般家庭や商店などが該当
北陸電力においては、特別高圧の比率が少なく、低圧が約半分を占める形となっています。
2016年の電力自由化は低圧が対象であり、高圧・特別高圧については10年以上前に自由化されています。
比較的低圧の占める割合の高い北陸電力は、電力自由化の影響が大きくなる可能性があったと言えます。
(現状、後述するように殆ど影響が無いのですが…。)
上記記事でも述べているのですが、例えば中部電力は低圧の割合が3割ほど等、同業他社は産業用途での販売量が多い傾向にあります。
一般論で考えれば産業のあるところに人が集まりますし、低圧に割合が偏っていることは必ずしも良いことでは無いかもしれませんね。
脱炭素化の逆風、石炭発電のうえに成り立つ、「日本一安い」電気代
(例年、北電の発電比率の60%前後を石炭発電が占める)
北陸電力は大手電力会社の中で最も電気料金が安いことが強みの1つとして挙げられ、「日本一安い」ことをアピールするテレビCMを放映していたほどです。
実際、2016年4月の電力小売り自由化を迎えても、電気料金の安さから他社への切り替え率は約2%に留まっていました。
しかし、それは原価の安い石炭火力発電に大きく依存しているからこそ為せる技であり、比較的多大なCO2排出量と引き換えに実現されています。
同社の石炭火力発電による発電割合は約5割となっていますが、近年、石炭火力発電からの脱却が国主導で進められています。
2020年7月3日、経済産業相が「2030年度までに旧式の石炭発電所の多くを休廃止する方針」を表明し、多くの石炭発電所を抱える電源開発(J-POWER)の株価が暴落するなど影響を及ぼしています(参考)。
このように脱炭素化の流れが加速していることは、北陸電力にとっては必ずしも好ましいことではなく、現在の低廉な電気代を維持できなくなる可能性も有ります。
今般、世界的に、企業に対しESGの重視が求められるようになってきており、再生可能エネルギーを用いた発電の重要性が高まっています。
同社は大手10社中もっとも高い水力発電比率を達成していますが、今後一層の再生可能エネルギー発電の推進が社会的に求められることでしょう。
志賀原子力発電所の重荷
北陸電力が擁する原子力発電所は志賀原子力発電所の1基のみです。
同発電所は2011年東日本大震災以降、再稼働をしていません。
原子力規制委員会の有識者会合において同発電所敷地内に活断層の存在が指摘されるなど、再稼働するにしても長い道のりが待ち受けています。
同発電所は1号機、2号機の2つの発電プラントを有していますが、2006年に営業運転開始した2号機は2011年に営業停止しており、同社に与える経済的負担も相当なものとなっています。
原子力発電所の耐用年数・減価償却期間は15年ほどとされており、5年で営業を停止した同機の建設費用は回収出来ていないことでしょう。
詳細な経営状況分析については後ほど述べますが、こうした状況から同社の経営は少々不安定な状況にあり、これを改善するのが急務の課題であると言えそうです。
公営ガス事業の譲受
昨今、福井市企業局の都市ガス事業や仙台市ガス局など、公営で運営されていた都市ガス事業が民営化する流れが活発になっています。
この流れに乗り、2021年2月には北陸電力を筆頭とする企業連合が金沢市から都市ガス事業に関する優先的交渉権を得たことが発表されました(譲渡価格は約300億円、日本経済新聞)。
福井都市ガスにも北陸電力は出資していますが、筆頭株主は関西電力であり、同社は第二位株主となっています。
一方の金沢市の都市ガス事業においては48%を出資する筆頭株主となります。
北陸地方における電力需要は既に頭打ちのように思われますから、都市ガス事業への進出が一層の成長の第一歩となりそうです。
北陸電力に就職したあと、都市ガス事業者へ出向させられる可能性もありますから、一応心しておくべきでしょう。
なお当サイトにおいては、金沢市の都市ガス事業において第二位株主として出資する東邦ガスについての企業研究記事も公開しています。
小売自由化により、インフラ業界は地域の垣根を超えた競争・協業が必要不可欠となりつつあります。
エリアこそ違えど、東邦ガスもインフラ企業のうちの一社ですから、概要程度は知っておくと良いでしょう。
業績推移
売上高・営業利益・純利益の3つに絞って業績推移を確認してみましょう。
各情報は決算書類より引用しています。
売上高推移
売上高の推移は比較的堅調であり、微増傾向にあります。
電力業界は2016年より小売自由化を迎えていますが、それもどこ吹く風、といったような推移になっていますね。
先程も述べたように北陸電力は顧客離れ(スイッチング)を安さにより防いでいるほか、地元でずっと電力を供給してきたことによる顧客からの信頼も有るのではないでしょうか。
営業利益推移
営業利益および営業利益率の推移は上のグラフのようになっています。
売上高から一転、非常に不安定な業績推移となっていることが読み取れるかと思います。
FY 2012からFY 2014に関しては東日本大震災に係る影響が、FY 2017以降は低廉な発電を実現していた石炭発電の定期点検による石油発電への転換が響いたものと推測されます。
FY 2020においては改善傾向が見られることは救いですが、先に述べたような原発問題や石炭火力発電に関する問題をクリアしなければ、抜本的な解決に成らないのでは無いでしょうか。
純利益推移
純利益は営業収支に経常収支(営業外収支)を加え、特別損益などを加味したものです。
最終的に会社の手元に残ったお金と言い換えてもよいでしょう。
純利益について北陸電力を見るに、電力会社にしてはかなり危うい状況に在るのでは無いかと思われます。
東日本大震災以降数年間の損失に関しては仕方のない部分がありますが…。
同程度の規模である四国電力を見ると、例年100億円~200億円ほどの純利益で推移しているため、同業他社と比較しても低い水準にあることがお分かりいただけるかと思います。
2017年3月期の損失要因については、石炭発電所の定期点検により、コストの高い石油発電所の稼働増加が響いたものとされています。
北陸電力の収益体制は石炭発電に大きく依存しており、発電量構成比からも原子力発電と石炭発電の実質2択になっています。
原子力発電所の再稼働は未だしばらく見込めそうにありませんから、苦しい状況が続きそうです。
北陸電力の将来性
福島第一原発事故、そして電力小売の完全自由化を迎え、「以前ほど電力会社は将来安泰な就職先ではない」と言われるようにもなりました。
しかし、果たしてそうでしょうか。ここまで見た情報を踏まえ、「企業総体」に加え、北陸電力の「社員」としての将来性を考えてみましょう。
(容赦なく社員の首を切ることで会社の将来性が安泰であるかのように振る舞う会社も世の中には存在するので…。)
電力・ガスなどエネルギーインフラ業界全体を見た、業界自体の将来性については下記記事で既に公開済みです。
日本の電力業界の10年先を行くドイツなど欧米諸国の現況も踏まえた考察をしていますので、こちらも合わせて御覧ください。
企業としての将来性
電力の送電網を保有しているため、まず100%無くなることは有り得ません。
現在の収益体制に関する問題点も、石炭発電所への過依存および原子力発電所休止に依るところが大きく、これらさえクリアすれば大きな問題点は見当たりません。
かと言って、簡単に解決できる問題でもない点が難しいところでは有りますが、喫緊の課題と言うほどでも無いため、ゆっくりと着実に解消に向けて歩んでいくのでは無いでしょうか。
また、現状では他電力との合併は考慮されていないとのことです。
仮に関西電力や中部電力など、隣接する大手電力会社に吸収されることになっても、そこに需要家がある限り事業は継続します。
以上から、短期的には少し問題があるものの、長期的に見れば非常に安定した企業と言えるでしょう。
社員としての将来性
北陸電力の給与水準は、北陸地方内においては1,2を争う高待遇です。
昇給スピードについては少々ゆっくりではあるものの、福利厚生や生涯年収を含めたトータル面では何不自由ない生活が出来ると思われます。
また、転勤範囲が限定的なことも社員にとってはプラスでしょう。
全国転勤・全世界転勤が求められる他業種と異なり、基本的に北陸地方で業務が完結するため、ライフプランの描きやすさでは随一ではないでしょうか。
「北陸地方出身」「地元で就職したい」「ガツガツよりは着実に」の3要素を備えた学生ならば、社風さえ合えば後悔しない就職先かと思われます。
とはいえ、近年(特に震災以後)賞与額が減額されるなど、かつて程の栄華を期待するのは辞めておいたほうが良いかもしれません。
あくまで「人生を着実に過ごしたい」場合に限り、オススメであることを言い添えておきます。
面接・選考対策
インターンシップ情報
北陸電力は、事務系・技術系ともに複数日程インターンシップを開催しています。
複数日程インターンシップは、企業研究に資することはもちろんのこと、必然的に社員との交流が増えることから選考に際し「印象を残す」ことにとても有用です。
北陸電力のインターンシップの場合、書類選考のみで参加でき、参加障壁が低いと言えるでしょう。
電力各社は往々にしてインターンシップ優秀者に早期に内定を出すため、少しでも興味があるなら必ず応募しておきましょう。
インターンシップを有利に運ぶ為には…
北陸電力のインターンシップは、グループワークの機会があります。
当サイトでは、インターンシップで優秀と評価され、早期選考に進むためのテクニックを多数公開しています。
以下、画像をクリックすることで当該テクニックを確認できます。
「相手に伝える」:発表をストーリー立てる方法
プレゼン発表においては、いかに優れたアイディアを出そうとも、相手に伝えられなければなんの意味もありません。
この記事では、プレゼンを作成する上で、相手方に「何故そのアイディアを出したのか」「どのような効果が期待できるのか」といったことを順序立てて説明することについてご紹介しています。
「見た目勝負」:見づらいプレゼンは、そもそも興味を引けない
いかに優れたアイディアを出そうとも、小さな字で書かれた汚い発表資料では、理解しようとする意欲すら失せてしまうものです。
本記事では、「先ずは興味を持ってもらうために、最低限プレゼン資料作成で気をつけなければならないポイント」をまとめてご紹介しています。
他にも多数あります
上記のようなテクニックを、他にもたくさん公開しています。
インターンシップに限らず、選考過程のグループディスカッションなどでも活用できるテクニックがありますので、是非チェックしてみてください。
全てのテクニックへのリンクは下記記事にまとめています。
Webテスト対策
北陸電力の本選考においては、Webテストとして玉手箱が課されます。
玉手箱は時間勝負の試験ですから、数をこなして条件反射的に問題を解けるようにすることが通過への近道です。
逆に言えば、対策さえすれば誰でも通過できるのがWebテストですから、対策を疎かにして足切られてしまうのは余りにも勿体ないことです。
本を買って勉強するのも良いですが、当サイトでは完全無料で玉手箱の練習問題を多数公開しています。
下記リンクから、ジャンル別に問題を解くことができますから、ぜひご利用ください。