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目次
企業情報
概要
リンナイは愛知県名古屋市に本社を置くガス機器メーカーです。
コンロや炊飯器などの厨房用機器、ファンヒーターやストーブなどの空調機器、給湯器などを製造しており、近年では床暖房、浴室暖房乾燥機なども手がけています。
同じく名古屋に本社を置くパロマとは数十年来のライバル関係にあり、「営業のパロマ、技術のリンナイ」と言わしめる関係にあります。
近年では、同社社長が名古屋商工会議所の副頭取に就任するなど、名古屋財界においても存在感を高めつつあります。
ちなみに、リンナイの社名は創業者の「林」さんと「内藤」さんから1文字ずつ取ったものとなっています。
現社長の内藤弘康氏も創業家一族の方であり、同社は同族経営企業の部類に入ります。
基本情報
社名 | リンナイ株式会社 |
創業 | 1920年9月1日 |
資本金 | 64億5974万円 |
売上高(連結) | 3404億6000万円 |
純利益(連結) | 215億6100万円 |
従業員数 | (連結)10451名(単体)3758名 |
(2020年3月31日時点)
事業紹介
主な製品
リンナイの製品は、家庭用と業務用に分類することができます。
そして、その製品はガスを活用した製品が非常に多数を占めています。例えば、
- ガスコンロ
- ガス給湯器
- ガス温水式床暖房
- ガス衣類乾燥機
等が挙げられます。
そもそも創業者が名古屋瓦斯(現:東邦ガス)出身であることからも、歴史的にガス製品を取り扱ってきたことが読み取れるかと思います。
しかし、近年ではガス製品にとどまらず、「ECO ONE」などガスと電気を両方使用するハイブリッド給湯器を製造しています。
こちらのハイブリッド給湯器は、同様の商品群における国内シェアの8割を占めています。
既存の「ガス機器依存」の構図から徐々に脱却する気概を感じることができる一例と言えるでしょう。
事業展開
さて、ここまで見たようにリンナイの製品は幅広いラインナップを取り揃えています。もしかしたら、あなたのご家庭でも使用されているかもしれません。
そんなリンナイですが、売上の6割を給湯機器が占めており、売上構成比は少々偏った形になっています。
また、業務用も展開していますが、その売上は全体のわずか9%に過ぎず、実に全売上の9割が一般家庭向け製品であることが分かります。
もっとも、事業形態としては「ガス機器メーカー→ガス機器販売会社→一般消費者」という構造を取っており、これはB2B2Cと呼ばれます。
したがって、例えば営業職で入社した場合、営業をする相手は一般消費者ではなく、ガス機器の販売会社ということになりますね。
エリア別売上高もチェックしておきましょう。
2020年3月期のリンナイの海外売上比率は約49%となっており、アメリカ・中国・韓国の占める割合が非常に大きいです。
国内でリンナイは既に盤石な基盤を築いていますから、持続的成長のためには海外に出る以外方法がありません。
そのため、必然的に海外事業と携わる機会も増えるものと予測されます。海外で活躍したい学生にもオススメできますね!
競合他社
対ガス機器メーカー
リンナイの主な競合企業として、「パロマ」「ノーリツ」が挙げられます。
ノーリツは、リンナイと共に国内シェアを席巻する企業です。
ノーリツ・リンナイはそれぞれ国内ガス給湯器(エコジョーズ)市場で40%ほどのシェアを有しています。
一方、ガスと電気を組み合わせ給湯する「ハイブリッド型」給湯器では、リンナイが8割、ノーリツが2割のシェアを占める結果となっています。
ノーリツとの詳細な比較は、「業績推移」の項目でご説明します。
パロマはリンナイに比べ海外売上比率が高いものと推測されます。(非上場企業なので正確なところは分かりません)
パロマの米国における給湯器シェアは50%とも言われており、国内市場は言わずもがな、海外市場でも高い存在感を発揮しています。
一方で、国内売上高はリンナイとノーリツに及ばず20%ほどとなっています。
かつては国内でも一定のシェアを誇っていたのですが、累計20名以上が亡くなったパロマ湯沸器死亡事故による信頼失墜以降、リンナイにシェアを奪われた形となっています。
他にもパーパス、長府製作所などの競合企業が有りますが、これらはリンナイに比べ事業規模が小さいので割愛します。
なお、同業他社筆頭として挙げたノーリツについては個別記事で詳細をご紹介しています。
リンナイの企業理解を深める役にも立ちますから、是非併せて御覧ください。
ガスvs電力の構図
IHコンロや電気給湯器などを製造している「三菱電機」「パナソニック」なども競合企業として挙げられます。
東日本大震災以降、営業活動自粛によりオール電化戸数は前年度比でマイナス推移傾向が継続しており、以前ほどガス会社やガス機器メーカーに対する脅威と言えない状況が続いていました。
しかし、2016年の電力小売自由化を皮切りにオール電化営業が再燃しており、電化率の上昇が予想されます。
富士経済によれば、2015年度に627万戸であったオール電化戸数が2025年度には939万戸まで増加する見込みとされています。
オール電化が国内住宅を席巻する事態はあまり考えられませんが、事業の持続的成長のためにはガス会社等と連携し、営業力を強化する必要があるでしょう。
(*1):オール電化住宅と創エネ住宅の動向
海外
先に見たように、同社の売上の約半分を海外での販売が占めており、今後更に海外での売上を伸ばす方向に舵取りをしています。
したがって、例えばアメリカであればGeneral ElectricやWhirlpoolといった現地の総合電機メーカーが競合相手となってきます。
業績推移
国内二大巨頭であるリンナイとノーリツについて、売上高・営業利益の推移をまとめたグラフが上のものになります。
情報量が多いですが、棒グラフが左軸で売上高を、線グラフが右軸で営業利益を表しています。
まず、リンナイとノーリツはともに営業利益・売上高が大きく変動していないことが分かります。
この次の「将来性」の項目でも述べますが、コンロや給湯器などのガス機器はほぼ生活必需品であり、継続的な買い替え需要に下支えされています。
そのため、極端に売上が落ちることはありません。一方で、百年掛けて培われてきた成熟産業ですから、極端に成長することも無いのです。
リンナイとノーリツの比較をしてみましょう。
売上高では例年リンナイがノーリツの1.5倍ほどとなっており、リンナイが大きく上回っています。
更に、営業利益ではリンナイはノーリツの5倍以上を計上しており、売上高以上に大きく差がついていることがお分かりいただけます。
これを売上高営業利益率に換算すると、リンナイが10%前後をキープしている一方、ノーリツは1.5%前後となっています。
製造業の平均営業利益率は4%前後とも言われており、リンナイが非常に優れた数値を叩き出している一方、ノーリツは平均以下に甘んじていると言えます。
こちらは、リンナイとノーリツの自己資本比率を比較した図です。
自己資本比率とは、総資本に占める返済不要の自己資本が占める割合を表したものであり、これが高いほど経営が安定していることの指標になります。
通常の企業では40%以上あれば「健全な運営が出来ている会社」、50%を超えれば「かなり健全な運営ができている優良企業」、70%を超えれば「理想的な運営ができており、ほぼ無借金経営の超優良企業」と言えます。
グラフから、リンナイの自己資本比率は例年70%前後、対するノーリツは55%前後で推移していることが読み取れます。
前述の基準に照らすと、リンナイは「超優良企業」、ノーリツは「優良企業」に当てはまります。
今後の企業方針
中期経営計画
リンナイは2020年をもって創業100周年を迎える老舗企業です。
現在、その節目である2020年を最終年度とする中期経営計画「G-shift 2020」が発表されています。
熱機器が商品力ではなく価格による競争にシフトしている状況に対応するため、
- 国内では自社ブランドへの依存拡大
- 国外では熱機器ブランドとしての知名度拡大
を心がけるといったように、営業戦略への注力が見受けられます。
リンナイでは「同じ方法での成長は20年以上続かない」と判断し、「海外市場」や「非ガス機器」など、未踏の分野への経営資源配分が進みます。
すなわち、同社は今まさに事業体制の転換を迎えているのであり、ここから導き出せる「求められる人物像」は次のようになります。
- 失敗を恐れることなく、新しいものごとにチャレンジできる人物
- 困難に直面したとしても、粘り強くやり抜くことができる人物
- 未踏の分野においても協調性を発揮し、主体的に行動できる人物
参考:中期経営計画|リンナイ
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将来性
リンナイが製造している「ガス機器」という商品は、長期的に見て非常に安定した売上を上げることができる事業です。
なぜならば、給湯器やキッチンコンロはあらゆる家庭が必要とする器具であるとともに、途切れることなく買い替え需要が発生する製品でもあるからです。
一般的なガスコンロの耐用年数は約10年と言われています。ガス機器は危険物であり、壊れることを承知で古いものを使い続けることには多大なリスクが伴います。
そのため、継続的に商品を売り続けることができるのです。このことは、売上が景気に左右されにくい、というメリットにも繋がります。
以上を以て、リンナイはメーカーの中でも非常に安定した企業であると言うことができます。
もっとも、同業他社に目を向けてみると、少々陰りが見えつつあるようにも見受けられます。
ここまで何度も取り上げた、リンナイと国内で張り合っているノーリツでは、2020年初頭に希望退職を募集しています。
その募集人数は600名であり、全社員の2割にも当たる大規模人員削減となりました。(募集人員600名に対し希望者は789名)
不採算分野である住設システム(システムキッチン、システムバスなど)からの事業撤退が決定し、それに伴う人員整理が理由です。
これを対岸の火事と見るかは人それぞれでしょうが、「絶対安泰な職場など無い」ことは肝に命じておく必要があります。
就職情報
採用人数
- 総合職(技術職・事務系営業職):50名前後
- 一般職(事務専門職):10名前後
一般職と総合職を合わせた採用人数は例年50名から80名前後で推移しており、年度ごとにバラツキがあります。
ここまでで見たようにリンナイは景気の影響を受けづらい企業ですから、社内における年度ごとの採用計画の違いが現れたものと分析できます。
3年後定着率は90%~100%で推移しており、一度入社すれば安心して働き続けられる企業であることを裏付けています。
インターンシップ優遇
あり
リンナイは例年、文系・理系それぞれに対し1dayインターンシップを開催しています。
こちらに参加し社員の目に留まれば、早期選考に参加することが可能です。
選考フロー
ES→面接(3回)→内定
(自由応募・インターン不参加の場合)
ES
- 志望動機
- 将来関わりたい仕事
- 学生時代に最も力を入れたこと
- 強みおよび弱み
リンナイのESの特徴としては、非常に入力文字数が少ないことです。
200文字前後で文章を簡潔にまとめる能力が必要です。MECE(漏れなくダブりなく)を心がけましょう。
面接
- 志望動機
- 自己PR
- 希望部署とその理由
- 将来どんな仕事がやってみたいか
面接は複数回実施されますが、大体上記のようなことを訊かれます。
面接時間が非常に短いため、ESと同様、面接も簡潔に答える力が要求されます。
日頃喋り過ぎる方・アツく語ってしまう方は、落ち着いて喋ることを念頭に入れておくと良いでしょう。
年収など
- 従業員数:3702名
- 平均年齢:37.7歳
- 平均勤続年数:15.5年
- 平均年間給与:620.1万円
セグメント別従業員数
- 日本:5746名
- アメリカ:281名
- オーストラリア:529名
- 中国:830名
- 韓国:1063名
- インドネシア:684名
- その他:1480名
第69期有価証券報告書より抜粋。
年収等情報は提出会社、セグメント別従業員数は連結従業員数の内訳情報となります。